2010 Fiscal Year Annual Research Report
植物オルガネラ遺伝子発現を統御するPPR蛋白質によるRNA配列認識機構の解明
Project/Area Number |
22870029
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
奥田 賢治 中央大学, 理工学部, 助教 (60423505)
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Keywords | PPR蛋白質 / 葉緑体 / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
植物オルガネラゲノムの遺伝子発現、特に転写後過程の大部分はPPR(pentatrico-peptide repeat)蛋白質ファミリーによって制御されている。PPR蛋白質はPPRモチーフと呼ばれる35アミノ酸からなるモチーフを反復して持つ蛋白質で、植物に巨大な遺伝子ファミリーを形成している。PPR蛋白質はオルガネラ転写産物中から標的とするRNA配列を特異的に認識し、標的サイトにプロセシング酵素を呼び込む役割を担っていると考えられている。しかしながら、PPR蛋白質機能の主幹である標的RNA配列を特異的に認識する分子機構についてはいまだ不明な点が多い。本研究では、PPR蛋白質によるRNA配列認識機構を解明するため、配列相同性を示さない複数のRNA配列認識に関わると考えられるPPR蛋白質とその標的RNAとの結合をゲルシフト法により解析した。解析には、複数の葉緑体RNA編集に必要とされるPPR蛋白質OTP82とCRR22を選んだ。解析の結果、1.OTP82は標的とする葉緑体ndhB9およびndhG1サイトを含むその上流15塩基RNA配列(弱い配列相同性を示す)に、ほぼ同じ結合親和性を伴い、かつ特異的に結合すること、2.CRR22は標的とする葉緑体ndhB7、ndhD5、およびrpoB3サイトを含むその上流20塩基RNA配列(配列相同性を全く示さない)に、ほぼ同じ結合親和性を伴い、かつ特異的に結合することが明らかになった。最近の研究から、PPR蛋白質の持つPPRモチーフと標的RNA中の塩基が1:1で相互作用することが提唱されている。CRR22はまったく相同性を示さない複数の配列を認識できることから、PPRモチーフと塩基の相互作用の一部が高親和性なRNA結合を決定していることが示唆された。
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