2010 Fiscal Year Annual Research Report
c-mycによる心筋細胞特異的遺伝子発現制御機構の解明
Project/Area Number |
22890103
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
塚本 蔵 大阪大学, 医学系研究科, 特任研究員 (80589151)
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Keywords | c-myc / 転写複合体 / 心筋細胞特異的遺伝子発現制御 / クロスリンク反応 |
Research Abstract |
本研究は癌遺伝子である転写因子c-mycが心筋細胞において特異的な遺伝子発現制御を示すことから、その転写複合体をin vivoの状態を保ったまま抽出し、構成する転写制御因子や転写共役因子群を同定・解析することを目的とする。そこで心筋細胞にアデノウイルスを用いてFLAGタグ付c-myc蛋白質を発現させ、c-mycの標的遺伝子のプロモーター上に転写複合体を形成させた。次に膜透過性架橋剤であるホルムアルデヒドにてin vivoクロスリンク反応を行い、この転写複合体を生化学的に安定化させた後、細胞核分画を超音波破砕法しクロマチン分画を可溶化し回収した。免疫沈降法(FLAGビーズ)にて転写複合体を回収した後、FLAG peptideあるいは低pHでのelutionを試みたが、非特異的吸着のため最終的にSDSでしかelutionされなかった。Elutionしたサンプルをanti-FLAG抗体でWestern blotを行ったところ、高分子量領域にシフトしたバンドを認めたことから、クロスリンクされ安定化した転写複合体が形成されていると考えられた。次にこのSDSでelutionしたサンプルから逆相高圧液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)の前にタンデムにSDS removal cartridgeを繋げたシステムを用いて転写複合体の精製を試みた。しかしながら結果の再現性に乏しく、目的とする転写複合体の同定は本方法では困難と考えられた。その原因として、ホルムアルデヒドの架橋反応は主にリジン残基に起こるため、FLAGタグのエピトープが破壊されたためFLAGタグの特異性が失われたためと考えられた。そこで現在はタグを変更して同様の検討を行っている。それと同時にホルムアルデヒドを用いない別のin vivoクロスリンク法(photo-reactive amino acids)を用いて検討中である。さらには、標的DNA配列に相補的なオリゴヌクレオチドに辞すビオチンを結合させたプローブを用いて、クロマチン・転写複合体を回収し、同定する方法(PICh法)も検討している。
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Research Products
(4 results)