Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 洋 九州大学, 理学研究院, 教授 (50178985)
宮町 宏樹 鹿児島大学, 理工学研究科, 教授 (30182041)
中道 治久 名古屋大学, 環境学研究科, 助教 (00420373)
大久保 修平 東京大学, 地震研究所, 教授 (30152078)
森田 裕一 東京大学, 地震研究所, 教授 (30220073)
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Research Abstract |
2011年1月から開始した新燃岳の噴火活動の推移予測のため,緊急の総合調査研究を昨年度に引き続き実施した。すなわち,火道浅部の状態変化を捉えるための広帯域地震計,地震計アレイ観測,傾斜計観測。 地下にあるマグマ溜まりの蓄積量とマグマ上昇による地下状態の時間変化を捉えるための,広域の地殻変動,地震,電磁気,重力観測。さらに,マグマや堆積物の物性変化を理解するため,火山ガスと火山噴出物の放出量や成分,分布等の時間変化を調査する。 2011年2~5月は新燃岳火口でブルカノ式噴火が断続的に発生し,6月からは複数回の水蒸気噴火が起こった。9月中旬以降噴火は起きていない。今回の噴火の噴出マグマ量は約2500万m^3に達したと見積もられる。火山性微動の発生域は,噴火の推移につれて火口の西側,北西側,南側と変化し,火口からマグマ溜まりへのマグマ移動や地下水との接触に対応したと考えられる。2011年末までマグマ溜まりを中心とする膨張が継続し,その膨張量は同年1月噴火の開始前とほぼ同様になったが,重力的には蓄積量は2千万m^3以下と考えられる。2012年に入って山体膨張は停滞し,火口西側浅部の消磁傾向が鈍化したため,火口へのマグマ供給が停止したと考えられる。 一方,1,2月噴火の再解析からは,プリニー式噴火に数10分先行して微弱な増圧が伴ったことが歪計解析から明らかになった。また,水準測量観測からは,北西のマグマ溜まりに加えて火口から北西に伸びる割れ目の存在が新たに提案された。また,ブルカノ式噴火直前の火口浅部の膨張と連動して火山ガス放出率が減少することが観測され,火道最上部におけるガス閉塞が噴火に先行していること明らかになった。今回の噴火では土石流の発生が起こらなかったが,噴出物が主に軽石であったため,顕著な雨浸透性悪化が起こらなかったからであると解釈された。
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