2010 Fiscal Year Annual Research Report
DRD2およびANKK1周辺遺伝子のアルコール依存症との関連と人種間の遺伝子頻度
Project/Area Number |
22930025
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
中村 貴子 筑波大学, 医学系支援室, 技術専門職員
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Keywords | ANKK1 DRD2 / アルコール依存症 / 遺伝子頻度 / SSCP法 |
Research Abstract |
【目的】ANKK1はSerine, threonine kinase domainを持ちDRD2遺伝子に作用し特にANKK1-rs4938012はアルコール他の依存症と関連する有力なSNPであるとの報告がある。 日本においてもアルコールや薬物耐性および依存症(麻薬およびCaffeine)は大きな社会問題になっているがまだその研究は多くない。ANKK1周辺遺伝子は多くの塩基置換部位を持ち総合的ハプロタイプ解析を行う必要がある。今回は各疾患群とのCase control研究を行うとともに人種による遺伝子頻度の差異についてSSCP法とTaqMan法を用い分析を行った。 【試料】日本、中国、モンゴル、ミャンマー、南米コロンビア、アメリカ、フランス、アイボリーコースト、カメルーンの一般集団DNAおよび国立久里浜アルコール研究所より提供のアルコール依存症患者DNA、筑波大学麻酔科より提供されたDNA(サンプルは筑波大学倫理委員会承認済み) 【方法】ALFexpressを使用したSSCP法およびABI-7500 RT-PCR機を使用したSNP解析法 【結果】1.ANKK1, Exon1, Exon2を中心とした領域:rs4938012,含む6箇所の塩基置換部位をSSCP法で分析しハプロタイプ解析を行った これらの領域においてそれぞれの人種に特徴的なハプロタイプを検出した。アメリカの論文にてアルコール依存症をはじめとする各種依存体質と強い相関を持つとされる塩基置換箇所はこの研究においてアフリカ黒人のサンプルに多くみられることがわかった。日本人コントロールとアルコール症患者との間には有意差は認められなかったことからアメリカにおける依存症患者の人種の問題を含んでいるかまたは別の領域による差異の可能性も示された。 2.ANKK1, Exon5~Exon8 : rs1800497はこれまで多くの精神疾患との関連遺伝子と指摘されてきたがまた反証の見解も多い。今回は今までのSSCP解析とともに初めてABI社のTaqMan Probeを使ったSNP解析を行いその精度を比較検証した。両者はそのSNP領域近傍の別のSNPの有無により使い分ける必要がある。今回アルコール依存症群と一般群との間に5%以下の有意差が認められた。Exon6のrs4938016の一般とアルコール症群において遺伝子頻度では有意差は認められないがアルコール症はヘテロが多く遺伝子タイプでは1%以下の有意差があった。 ANKK1の5'末端のPromoter領域にはCpGアイランドが存在する。このことと今までの結果からPromoter領域の発現抑制が関与することも考えられ、現在その領域のメチル化Primerをこの研究費により作製しDNAのバイサルファイト処理を行いメチル化解析を進めている。
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Research Products
(4 results)