2023 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of the soil decomposition process by the dynamic multiomics approach
Project/Area Number |
22H00383
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
木庭 啓介 京都大学, 生態学研究センター, 教授 (90311745)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
早川 智恵 宇都宮大学, 農学部, 助教 (10725526)
堀 知行 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 上級主任研究員 (20509533)
諸野 祐樹 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(高知コア研究所), 上席研究員 (30421845)
伊藤 元雄 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(高知コア研究所), 調査役 (40606109)
舘野 隆之輔 京都大学, フィールド科学教育研究センター, 教授 (60390712)
東樹 宏和 京都大学, 生態学研究センター, 准教授 (60585024)
長尾 眞希 (浅野眞希) 筑波大学, 生命環境系, 助教 (80453538)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | 炭素循環 / 窒素循環 / 土壌 / 微生物 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、有機物分解とマイクロバイオーム・メタボロームの関係解析のための予備実験を実施した。メタボローム分析の中で特に重要なアミノ糖の測定について前年度から準備を継続してきたものの、ヘリウム不足もありやや時間がかかってしまった。しかしGC/MSでの測定を、ヘリウムを利用しないGC-FIDに切り替えることでなんとか対応し、いくつかの森林土壌でアミノ糖濃度を産出することができた。このことで13Cラベル基質がどのように微生物勤怠に取り込まれ、より土壌で隔離される形として変換されているかを追跡できる。現在、このプロトコルをより簡便なものに練り直し、2024年度はデータを多く取得できるように対応している。
さらに、2024年度からの本培養実験については打ち合わせおよび別予備実験を実施し、CO2放出速度およびその13C測定に向けたサンプリングおよび測定プロトコルの確認や、土壌サンプルの処理、保管など、2024年度に実施する本実験についてのプロトコルをおおよそ作成した。その中で培養サンプルを多数同時に処理することの困難さが明らかとなった。大型培養器の利用が必要など、より円滑に培養実験を進められる環境での実験が必要となったため、宇都宮大学にて実験を実施すること、そのために博士研究員の雇用を2024年度より、研究代表者の大学ではなく宇都宮大学にて実施することとした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大きな問題であった微生物菌体由来の物質であるアミノ糖について、その分析プロトコルがほぼできあがった。ヘリウム不足などもありかなりの時間を要してしまったが、これによって最も重要なメタボロームであるアミノ糖についての測定が可能となり、本実験での重要な問題が解決できた。 一方で、培養条件をより詳細に設定する必要が生じ、研究代表者の所属部署では、トレーサーを含んだ化合物を用いた培養環境が小規模であることが問題となった。これについては、実験をより大規模で培養実験が可能な宇都宮大学にて2024年度より実施すること、それに伴い、博士研究員を宇都宮大学で雇用することにより、解決できると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
2024年度より、博士研究員を宇都宮大学にて雇用し、本実験を開始する。複数森林土壌を用いた3週間をめどとした培養実験を行い、13Cラベルされた有機物などを添加し、13CO2の放出速度、メタボローム濃度変化、および微生物についてのSIP分析を実施する。培養実験中はCO2放出速度測定が極めて重要かつ高時間分解能でのサンプリングが必要となるため、そこに注力し、土壌サンプルはすぐに冷凍し、様々な化学分析を後日まとめて実施するという方針をとる。このため、宇都宮大学へ研究代表者も実験参加のため頻繁に出張することを予定している。まずは年度前半に1つまたは2つの森林土壌について培養実験を実施する予定である。さらに可能であれば、長期(半年から1年)の培養区も設け、より分解が進んだ状態での炭素隔離についても解析を進める予定である。
|