2022 Fiscal Year Annual Research Report
Tractor nonlinear dynamics for active safety
Project/Area Number |
22H00388
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
酒井 憲司 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 特任教授 (40192083)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
帖佐 直 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (10355597)
松井 正実 宇都宮大学, 農学部, 教授 (10603425)
田村 孝浩 宇都宮大学, 農学部, 准教授 (20341729)
青柳 悠也 琉球大学, 農学部, 助教 (20882195)
滝元 弘樹 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業機械研究部門, 研究員 (30646948)
風間 恵介 日本大学, 生産工学部, 助教 (30813422)
井上 秀彦 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業機械研究部門, 主任研究員 (40414685)
山下 恵 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (70523596)
中島 正裕 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (80436675)
原田 一郎 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業機械研究部門, 研究員 (90527110)
手島 司 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業機械研究部門, グループ長 (10391509)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | トラクタ / 農作業事故 / 非線形現象 / 仮想テストドライブ / ドライブシミュレータ / ジャックナイフ現象 / 共振ジャンプ / パワーホップ |
Outline of Annual Research Achievements |
①6軸モーションプラットフォームを導入しCarSimDS/MatlabSimlink運動モデルとの接続を完了した.2軸簡易型モーションDSの開発に着手した。②トラクタの不安定性をリアルタイム評価のためのLyapuniv指数の妥当性について数値実験により確認し原著論文として公表した。③トラクタ―トレーラ系のジャックナイフ現象について、平面運動解析によって操安性に関して極配置など解析を行った.その結果,一般車両-トレーラ系とは大きく異なりより不安定であることが明らかとなった。④トラクタ非線形運動方程式を無次元化しその力学系としての詳細解析をデーリー大学との国際共同研究として着手した。⑤DF制御の有効性とサスペンショントラクタの効果についての数値実験に着手した。⑥トラクタ危険挙動再現実験施設において試作した無人RSトラクタによる共振ジャンプ実験を実施するとともに、CarSimによって仮想テストドライブとして再現できることを確認した。⑦教材開発に必要な項目探査のために現地調査を実施した。⑧約40万件の共済データに基づいて、農業用車両の物損事故の実損害額と,実損害額に対する農家の想定と実補償額との乖離を定量的に評価し,農業用車両の物損事故に関するリスクマップを作成した。⑧農研機構において収集公開されているトラクタ事故シナリオを再現したCarSimによるシミュレーションを行い、事故シナリオアーカイブの充実を継続して行った。⑨これまで作成してきた事故シナリオ動画を農研機構農業機械部門など研究分担者を通じ、安全研修教材としての提供を試行的におこなった。その結果、受講者からのフィードバックが得られ、従来想定していなかった凹路面に着目してトラクタ前転および後転シナリヲを構築することができ、今後事故シナリオアーカイブ作成のPDCAサイクルの可能性を確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①電動6軸モーションプラットフォームについて車両運動モデルとの接続も完了し、年度内に導入することができた,トラクタ―トレーラ系のジャックナイフ現象についての理論的解明やLyapunov指数による安定性評価に関して原著論文を発表できた,トラクタ危険挙動再現実験施設におけるRSトラクタおよびモーションキャプチャ・IMUなどの計測環境も整備され、シミュレーション予想通りの共振ジャンプを再現・実証できた,これらによって,主要な研究課題を実施するにおいて必要な研究基盤を初年度に整えることができた, ②40万件の共済データの分析に着手し成果を公表した,トラクタをはじめとする農用車両の共済データによる分析を継続することで、より深い事故の背景分析によって、問題解決へのより効果的な研究戦略を採用することが可能となる,③安全研修用の事故シナリオ動画アーカイブの作成は着実に進行している。さらに、事故シナリオ動画の試行的教材提供を行った際に,受講者からの意見等のフィードバックにより当初予定していなかった事故要因についての知見が得られ、新たな事故シナリヲの作成につながった,このように,教材開発におけるPDCAサイクル構築が可能であることが明らかになり、本研究成果の社会実装およびアウトリーチへの展望を得ることができた, ④本研究計画の一環として、農業食料工学会においてオーガナイズドセッション「農作業の事故実態の解明と安全性・快適性向上への取り組み」招待講演2件を含む16件の研究発表が行われた。 ⑤国際共著論文の執筆や国際会議における技術委員会等を通じてデリー大学やUCデービスなどとの研究交流が進展し、今後の研究計画の国際展開の基盤が整備された.
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Strategy for Future Research Activity |
1.基盤研究 ①トラクタ非線形動力学の高精度化:共振ジャンプとパワーホップという機械要素の代表的な非線形過程を顕に含んで運動方程式の力学系挙動の理論解析を推進する.アクティブ安全対策において実用レベルの自由度を有する運動方程式について、小型から大型までサイズフリーの普遍性の高い理論的理解を目指す。②トラクタ動的安定化制御アルゴリズムの構築と実証:現行のDF制御とともに、OPCL等の非線形制御を実車レベルへの実装を念頭に置いたアルゴリズムを開発しCarSimなどによるシミュレーションにおいて実装を目指す。③モーション型トラクタドライビングシミュレータの開発:研究組織において所有するスチュワート型電動6軸モーションプラットフォーム、2軸揺動振動台、2軸振動シートのモーション装置により研究開発用から教材用の簡易型のモーション型ドライブシミュレータの開発を継続する。④トラクタ動的安定性評価手法の開発:内発的リスクマネージメントの基盤技術としてリアルタイム警報装置が重要である。本課題の前身である基盤研究A(19H00959)を引き継いで、複数のアプローチによりリアルタイム警報並びにトラクタ用ドライブレコーダの探索的研究を行う。2.実情把握:本研究計画実施の課程において、トラクタ転倒転落事故の背景をより幅広い視点から把握することの重要性が認識されるに至った。本年度実施した共済データ解析の他、農林業センサスなどの公開データも含めてトラクタ転倒転落事故対策の視点からこれらの統計データの俯瞰的理解を図る。3.アウトリーチ:農業環境工学5学会の合同大会において幅広い視点からのオーガナイズドセッションを開催する。トラクタ非線形動力学とアクティブ安全対策研究への国際的機運を高めるために、海外研究協力者の参画も得て、国際学術集会の企画行う。
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Research Products
(9 results)