2022 Fiscal Year Annual Research Report
TDP-43病理形成・分解機序に着目した筋萎縮性側索硬化症の分子病態解明と制御
Project/Area Number |
22H00467
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山中 宏二 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (80446533)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 洋平 愛知医科大学, 加齢医科学研究所, 教授 (30383714)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
|
Keywords | 筋萎縮性側索硬化症 / TDP-43 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では以下の3つの研究計画を実施した。 1)TDP-43病理形成メカニズムの解明とTDP病理を再現する新規ALSモデル動物の開発:ALS死後脳解析によりTDP-43の多量体化の低下,つまり単量体化の亢進が孤発性ALSの脳・脊髄組織で認められることや,そのTDP-43病理形成における分子メカニズムについて明らかにした。これらの成果を論文にまとめ投稿した。 TDP-43病理を再現するモデルマウスについて、変異が複数箇所あるため作成が難航したが、ゲノム編集の条件を工夫して施行することにより、単量体化変異を有するマウスを得ることができた。 2)オリゴデンドロサイトに着目したALSにおける「非自律性」神経変性機序の解明: 代表者は,オリゴデンドロサイト特異的にTDP-43を発現するマウス脊髄からオリゴデンドロサイトを磁気細胞分離法によって単離する実験系を確立し,脊髄試料を用いて網羅的遺伝子発現解析を行った。オリゴデンドロサイトマーカー遺伝子等を用いて、目的とする細胞や遺伝子群が得られていることを確認し、初期解析を行った。また、脊髄の免疫組織学的検討のため、経時的な組織採取を行った。 3)TBK1による新たなTDP-43分解機構の同定と異常タンパク質分解を標的とした疾患修飾療法開発:本課題では、ALS原因遺伝子であるTBK1がTDP-43変異タンパク質の分解を促進することや、TBK1活性におけるMAM(小胞体・ミトコンドリア接触部)の役割解明に向けて研究を行う。今年度は,MAMの破綻に関する病態メカニズムの一つとして、ALSで見られるミトコンドリア断片化に遺伝性ALSの原因遺伝子産物であるσ1受容体とミトコンドリアの膜上に存在するATAD3Aとの相互作用の破綻が重要であることを明らかにした。以上の研究成果を論文発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新規TDP-43モデルマウスを得るため、従来より長い遺伝子領域のゲノム編集に挑戦する必要があった。難度が高いため、実験条件の工夫や検討が必要となり、当初の想定より作成に期間を要した。
|
Strategy for Future Research Activity |
最終的に遺伝子改変動物が得られたため、次年度以降は、交配実験等をスムーズに実行して、モデル動物の初期解析を速やかに行う。
|
Research Products
(9 results)