2022 Fiscal Year Annual Research Report
AR技術を活用した防災教育プログラムの開発-災害・防災の「見える化」を目指して-
Project/Area Number |
22H04013
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
番匠谷 省吾 広島大学, 附属福山中学校, 教諭
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 防災教育 / AR |
Outline of Annual Research Achievements |
1.研究目的 近年,地震や豪雨など数多くの自然災害が発生している。また,昨年度より高等学校では科目「地理総合」が必修化となり,授業においては防災学習を扱う比重が大きくなった。本研究では,災害に対するイメージを描きやすくするために,AR(拡張現実)技術に注目し,AR技術を活用した教材の開発と授業実践を通して,生徒の防災意識を高めることを研究目的とした。 2.研究方法 研究方法としては以下の手順で行った。まず,AR技術の活用方法についての検討である。そのため,全国各地で行われているAR技術を用いた防災に関わる展示について見学を行い,どのような教材が作成できるかを検討した。その後,作成した画像をもとに授業実践を行い,生徒のアンケート結果を通して教材の有用性や課題について考察した。 3.研究成果 生徒の居住地域から,豪雨災害による浸水被害が身近な災害であると考え,AR技術を活用し,生徒の居住地や通学路における,豪雨時の浸水シミュレート画像を作成し,災害の「見える化」を行った。授業後の生徒へのアンケートでは138名より回答があり,そう思う(4点)ややそう思う(3点)あまり思わない(2点)思わない(1点)として得点化を行った。「AR浸水画像はイメージしやすかった」では3.48,「災害・防災について興味をもつことができた」では3.59となっており,AR技術を用いた画像の有効性を明らかにすることができた。自由記述欄では,「直感的に分かりやすかった。浸水だけでなく地震,土砂崩れ,液状化現象なども見てみたい」という感想が多くみられた。一方で,改善点に向けての指摘もあり,その多くは「イメージはしやすいが,浸水の深さ(50cm,1mで作成)にリアリティさが欠ける」という点である。作成時に定規を立てて深さのリアリティさを出すように工夫を行ったが,この点については今後の課題であるといえる。
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Remarks |
本研究の成果は,地理科学学会春季学術大会(2023年6月)において発表予定である(発表申込中)。
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