2022 Fiscal Year Annual Research Report
スモッグチャンバーを用いた疑似光化学スモッグ生成反応の教材化
Project/Area Number |
22H04247
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
松浦 紀之 奈良女子大学, 附属中等教育学校, 国立中等教育学校教諭
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 光化学スモッグ / スモッグチャンバー / アルデヒド |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,フラスコ容器内で光化学スモッグの生成を再現する実験教材を開発とすることを目的とした。さらに,疑似光化学スモッグ中に含まれるアルデヒドやオゾンの簡易な定量方法について検討した。 ガラス製の丸底フラスコ内に一定量の二酸化窒素と揮発性の有機化合物(炭化水素)を入れた。これに紫外線を照射することで起こる光化学反応がフラスコ内で実現可能な条件を検討した。疑似光化学スモッグが生じたフラスコに直進性のあるレーザー光を照射すると,チンダル現象が観察された。これにより,目視により疑似光化学スモッグを確認できる観察教材となった。 疑似光化学スモッグの生成過程で生じるアルデヒドは,高校化学で学習するフェーリング液(銅(Ⅱ)イオンを含む)の還元反応を利用することで確かめることができた。しかし,この方法では,生じたアルデヒドの生成量が少ないため,定量測定までは至っていない。一方,比較実験としてフラスコ容器内に導入した微量のホルムアルデヒドについて,アセチルアセトン法による比色分析により定量測定できることが分かった。この方法は高校生でも容易に取り組むことが可能である。 本研究に関連し,奈良県景観・環境総合センターの研究員による支援により,研究者が勤務する中等教育学校の理科クラブ生徒とともに,大気中のアルデヒド濃度の調査の公定法である固相捕集-高速液体クロマトグラフ法(2,4-ジニトロフェニルヒドラジン含浸シリカゲルを充てんした捕集管を使用)で奈良・大阪の大気調査実践を行った。これにより,大気環境の測定方法の理解を深めることができた。 以上の研究や活動により,大気反応の理解を助ける中学・高校生向けの実験教材を開発することができた。
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