2022 Fiscal Year Research-status Report
提供型生殖医療におけるドナー・レシピエント・出生者の情報管理の在り方の検討
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22K00005
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
仙波 由加里 お茶の水女子大学, ジェンダー研究所, 研究協力員 (00565872)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久慈 直昭 東京医科大学, 医学部, 教授 (80169987)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 提供型生殖医療 / 出自を知る権利 / ボランタリーレジストリー / VARTA / 情報管理 / 提供者の匿名性 / 法整備 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、特に本研究における学術的な問いの中でも、「諸外国ですでに提供型生殖医療で出生した人にドナー情報を開示している国や地域では、こうした当事者の情報をどのような組織がどのように管理して、どのようにその情報が当事者に開示されているか」という点に焦点を当て、研究をすすめた。具体的には、諸外国で、提供型生殖医療で出生した人にドナー情報の開示している地域のうち、オーストラリアのヴィクトリア州、ニューサウスウェールズ州、南オーストラリア州、西オーストラリア州の4州を中心に、ボランタリーレジストリ―について、文献を中心に、情報管理体制の在り方や情報登録、各管理機関の特徴や開示の仕方等を調査した。また、ヴィクトリア州については、Victorian Assisted Reproductive Treatment Authority (通称VARTA)のInformation &Donor Registry Serviceチームを総括しているClaire McCole氏が11月に来日ししたため、McCole氏に会い、対面でインタビューを行い、特にヴィクトリア州のボランタリーレジストリ―の現状や課題について情報提供してもらった。 また、調査の過程で、米国でも商業的DNA検査の急速な普及もあり、提供型生殖医療で出生した人の出自を知る権利に対する関心が高まり、提供型生殖医療で生まれた人の出自を知る権利に関連する法律や、提供者情報の管理に関する法律の整備を行う州が増えてきていることを知り、米国の状況についても文献調査をすすめた。 これらの研究で得た情報や成果等は、2022年11月に開催された日本生命倫理学会の年次大会の公募ワークショップ「出自を知る権利―国内外の動向から」で、「配偶子ドナーの匿名性の廃止:国外の動向」という題目で報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度は研究計画に従って、文献調査、およびオーストラリアについてはおおむね順調に進められた。研究計画では、米国の状況については深く調査する予定ではなかったが、米国でも商業的DNA検査の急速な普及から、提供型生殖医療で出生した人の出自を知る権利に対する関心が高まり、法整備の面でも活発な動きがあることが分かったため、研究計画を変更して、米国の状況についても、さらに詳細に調査をすすめることにした。 また、当初の研究計画では、2022年度はオーストラリアでの現地調査を予定していたが、オーストラリアVARTAのMcCole氏が11月に来日したため、それを機会にMcCole氏に対面でインタビューを行い、VARTAで行われているボランタリーレジストリ―の状況について精力的に情報を集め分析をすすめた。2021年11月から施行されている南オーストラリアの状況についての調査がまだ不十分なため、2023年度には引き続き南オーストラリアについても調査をすすめる。
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Strategy for Future Research Activity |
代表者、分担者ともに、引き続き、文献収集とその分析を行う。特に2023年度は、オーストラリアの南オーストラリア州で法の施行後2年目を迎えるが、施行後の状況などについての情報収集を現地調査も含めて積極的に行う。またクィーンズランド州でも、ヴィクトリア州や南オーストラリア州同様の出生者のドナー情報を得る権利を最優先する法律の作成が薦められていると言う情報もあるため、その点についても調査をすすめる。 2023年度は、ドイツでの現地調査も計画しているが、さらに米国の状況、特に2025年1月から施行される予定となっているコロラド州の提供型生殖医療での出生者とその家族保護法(Donor-Conceived Persons and Families of Donor-Conceived Persons Protection Act)についても、調査をすすめる。そしてオーストラリア・ドイツ・アメリカでの調査を通して、現時点までの研究でわかったことを2023年12月に開催予定の日本生命倫理学会で発表する予定。
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Causes of Carryover |
研究計画では、2022年度は当初オーストラリアでの現地調査を予定していたが、2022年11月に、オーストラリアのVARTAの担当者、Claire McCole氏が来日し、日本で様々な情報の提供を受けることができたため、オーストラリア調査旅費を使用しなくて済んだことが主な理由である。まだ新型コロナの影響もあり、海外出張に煩雑な手続きなども必要だったため、オーストラリアでの現地調査を2023年度以降へと変更した。 次年度への繰り越し金については、2023年度に南オーストラリア州、クィーンズランド州での現地調査で使用する予定である。また本研究とも関連して、2022年8月に米国のコロラド州で配偶子ドナーの匿名性を廃止する法律が成立し、2025年1月より施行されることになった。コロラド州でこのような法律が成立した背景を探り、さらに米国の他州でもこれに関連する動きがみられるため、繰越金は米国調査にも充てる予定である。
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Remarks |
現在、成果報告をまとめている
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Research Products
(6 results)