2023 Fiscal Year Research-status Report
Studies of those scholar-monks who valued the Mulasarvastivada-vinaya according to the wishes of Kukai
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22K00065
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
岸野 良治 京都薬科大学, 薬学部, 講師 (40760137)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 有部律 / 根本説一切有部律 / 密門 / 学如 / 戒律 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は、とくに兵庫県における寺院を中心に資料調査を5度おこなった。これらの調査においては特筆すべきような新資料の発見には至らなかった。一方で、既に入手済みの資料の解読を通じて幾つか新たな知見が得られた。少し具体的に言うと、近世後期に「根本説一切有部律」の重要性を説いた学僧たちの、いわゆる「部派」についての考え方の特徴が見え始めてきたのである。その詳細については、現在執筆中の論考において発表予定である。 また、具体的な研究活動の実績について言えば、昨年度は、国内で開催された仏教学の学術大会や国際シンポジウムに参加するとともに、日本国内の大学において講演会に2度呼ばれ、それらの場において研究成果を発表した。成果物としては、講演会の文字起こし(東アジアにおける「根本説一切有部律」の伝承について論じたもの)以外に、学術雑誌(『日本佛教学会年報』)に論文を一つ投稿した。さらには、編者として共著(『宗教者として生きるということ:戒律研究へのいざない』臨川書店)の出版事業に携わっており、そこでも二つの論考を寄稿した。それらは、まもなく出版される予定である。そしてまた、それらと並行して、新たに二つの写本に基づきながら、学如の『恭答亀龍主常塔上人』の訳注研究を進めており、こちらが半分ほど完成している。さらに言えば、昨年度は、これまでの研究活動の副産物として、これまでに参加したことのなかった研究会からの招待を受ける機会が度々あり、それへの参加を通じて、新たな知見が得られるとともに、新たな研究者のネットワークを形成することもできた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の進捗状況は「おおむね順調」である。Covid-19による災禍による移動等の制限が緩和されているため、資料調査旅行も大きな問題なく進めることができている。資料の解読もまずまずの進展であり、研究成果を発表する機会も度々得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も、これまで同様に寺院や博物館等における文献資料の調査とそこで得られた資料の整理と精読、そして研究成果の発表を積極的におこなっていきたい。
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Causes of Carryover |
購入しようとしていた資料(書籍)が、突然売り切れてしまったため、その価格の金額が次年度使用額として生じた。本年度中に再販されたらさいに購入する予定である。
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