2023 Fiscal Year Research-status Report
Large-Scale Disasters and Religion: Religious Events in Fukushima Prefecture after the Spanish Flu Disaster, the Great East Japan Earthquake, and the Ongoing COVID-19 Situation
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22K00072
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
弓山 達也 東京工業大学, リベラルアーツ研究教育院, 教授 (40311998)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 東日本大震災 / 祭り / 宗教行事 / スピリチュアリティ / いのちの教育 / コロナ禍 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は大規模災害下・直後における宗教行事の変化(中止・延期・再開・変容)を探ることにより、人々の生活における宗教の意味(日常生活に対する宗教的意味づけと宗教行事に対する意味づけ双方を含む)を解明することである。これをスペイン風邪禍(1918-20年)、東日本大震災後(2011年以降)、コロナ禍(2020年以降)の比較を通じて検討していく点に本研究の特徴がある。 今年度は、(1)獏原人村満月祭調査(川内村、8月3-5日)、(2)安波祭調査(浪江町請戸地区のくさ野神社、2月17-18日、(3)宮城・福島県の震災遺構調査(3月9日に気仙沼市東日本大震災遺構・伝承館、10日に震災遺構大川小学校、11日に請戸小学校)を実施した。当初の予定通り、東日本大震災後/コロナ禍後のイベントを含む広い意味での宗教行事の観察を行うとともに、宗教者ではない、市井の人々の生活における宗教行事の意味について考察する情報や資料を収集できたと確信している。また関連して(4)コロナ禍における宗教研究の一環としてハンセン病に焦点を当て、まで群馬県吾妻郡草津町にある施設(7月29-30日に聖バルナバ教会と国立療養所栗生楽泉園・重監房資料館)を訪問・視察した。 その成果は(3)に関連して前年度からの調査とあわせ共著論文「スピリチュアリティの観点からとらえたいのちの教育」、学会発表「いのちの教育と震災伝承施設」、(1)に関連して学会発表「現代コミューンの宗教性」に結実し、また(3)に関連して共著論文「祭りと生きる力」が採択された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ペイン風邪禍の宗教行事の文献調査はできなかったものの、予定通り、東日本大震災後と、コロナ禍の広い意味での宗教行事の調査を実施し、論文化できた。
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Strategy for Future Research Activity |
報告者は大規模災害における苦難の意味を探るべく福島県下の宗教行事を調査してきたが、2023年度までの研究である程度の見通しがつき、それを2025年の宗教学宗教史学会で報告する予定である。同時に祭りの育む「いきる力」に注目し、『生きる力とスピリチュアリティ』を年度内に刊行すべく準備を進めている。
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Causes of Carryover |
2022年度に雇用していた研究員が海外大学のフェローとして就職したため、予定していた人件費(約30万円)が支出できなかった。同様に当該研究員の担当する業務も一部(約10万円)停滞せざるを得なかった。また予定していた国際宗教社会学会が、発表採択されたものの、学会開催中に本務校業務が入り、欠席せざるを得なくなり、旅費も減額となった(約30万円)。予算執行ができなかったものの、予定の研究は順調に進んでおり、2024年度に研究員を雇用し、いっそうの業務遂行に臨みたい。
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