2023 Fiscal Year Research-status Report
現代キリスト教における教義の実相:原理主義の教義と伝統的神学思想の総合的研究
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22K00089
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
加納 和寛 関西学院大学, 神学部, 教授 (00732893)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | キリスト教聖霊論 |
Outline of Annual Research Achievements |
現代キリスト教が示す実相の特徴的要素すなわち聖霊の重視に関し、主として19世紀以降の自由主義神学における聖霊論の減衰および回復の研究と、実践的信仰における聖霊運動の進展の比較考察を進めている。 2023年度の成果として、(1)聖霊論が消失した神学潮流の一つである、19-20世紀のプロテスタント自由主義神学における「非教義的キリスト教」の定義に関し、定説とは異なる別の可能性が得られたこと、(2)すでに19世紀中頃において、アメリカ大陸における聖霊的運動の源流の一つと見られる実践がドイツ敬虔主義の文脈で認められること、すなわち従来英語圏にとどまっていた聖霊重視の信仰運動がドイツ語圏にさらなる源流を求めることが可能である、(3)20世紀の霊的キリスト教運動と目されるフリードリヒ・リッテルマイアーの神学は、これまでルードルフ・シュタイナーの思想に基づきオカルティズムに立脚してキリスト教を再解釈したに過ぎないとされてきたが、それにもかかわらず特に聖霊論の観点からその構造を分析するならば、リッテルマイアーが師事した自由主義神学の代表的存在とされるアドルフ・フォン・ハルナックの提示した神学プログラムの影響すなわち聖霊論の希薄な教理体系と相似形をなすことが指摘できるとの知見が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画よりも必要とされる領域が拡大し、資料収集とその集約に集中したため、成果の段階的発表が予定よりも遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
「非教義的キリスト教」と「非宗教的キリスト教」の比較考察を進め、特に聖霊論の観点から両者の関連性および断絶性を明らかにする。そこから経綸主義と聖霊論の関係性に関する知見を深めることになる。
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Causes of Carryover |
当該年度は研究留学年であったため、留学費等の使用により科研費の使用をせずに済ませることができた経費もあった。次年度はパソコン等の物品購入、アルバイト謝金の積極的活用による研究の推進を計画している。
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