2023 Fiscal Year Research-status Report
簡帛出土資料に見える生成論の解明と中国古代儒家思想の人性論に関する研究
Project/Area Number |
22K00098
|
Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
西 信康 三重大学, 人文学部, 特任准教授(教育担当) (30571062)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 郭店楚簡『五行』 / 馬王堆漢墓帛書五行篇 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、儒家の倫理学説に関する研究を進めた。対象とした資料は、郭店楚簡『五行』および馬王堆漢墓帛書五行篇である。『五行』は、既に豊富な研究成果のある資料であり、本研究代表者にもこれを専論する研究成果があるが、ここ10年ほどの研究状況については、改めて調査する必要があったため、先行研究の収集と調査とを行った。調査の結果、郭店楚簡『五行』と馬王堆漢墓帛書五行篇との関係について、30年来の問題がなお継続的に議論されている状況が確認できた。このため、これを解決するための予備的考察を進めた。具体的には、両文献には構造上の相違が従来指摘されているが、本研究ではとくに章節の異同に注目した。両文献に章節の異同が見られること自体は、先行研究にも指摘されているが、本研究ではそうした構造上の相違について、用語の頻度および提示される順序によってこれを説明するのではなく、思想内容の相違として説明する必要があること、このためには、より踏み込んだ思想の解釈が必要であるとの知見を得た。その際、これまた従来注目される馬王堆漢墓帛書五行篇の《説》の記載内容を分析し、併せて、それが郭店楚簡『五行』には欠けていることの意味について問い直し、基礎的な分析を加えた。以上の成果は、「知ること、分かること、行うこと─簡帛『五行』比較研究序説─」として、『論叢』(第10号、三重大学人文学部哲学・思想学系)に投稿し、2024年に公開予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
中国語論文の収集が困難な情勢になり、研究計画時の予定よりも予算の増額が必要な状況であるが、収集された資料の分析については、概ね順調に進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度の成果を踏まえ、更に『五行』関連の資料の選定と分析とを進める。
|
Causes of Carryover |
論文収集を効率的に進めることができず、年度内での予算消化ができなかったため。次年度使用額は主に資料収集に利用する計画である。
|