2023 Fiscal Year Research-status Report
傷つきやすさの創造性:障害者演劇と20世紀前衛演劇に関する理論的・実践的研究
Project/Area Number |
22K00145
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
井上 由里子 青山学院大学, 文学部, 准教授 (70601037)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 中嶋夏 / じゆう劇場 / 中島諒 / アトリエ・カタリーズ / 傷つきやすさ / 俳優術 / 暗黒舞踏 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、障害者演劇と20世紀前衛演劇の交叉について理論と実践を往還しながら考察し、「傷つきやすさ(vulnerability)」の創造性を明らかにすることである。本年度は、現地調査と翻訳を中心に進めた。 (1)本研究課題の主要な研究対象である以下の3つの実践について現地調査を行った。 ①コミュニティ・ダンス〈心と身体の学級〉(1993年創設、中嶋夏主宰) ②鳥の劇場〈じゆう劇場〉の演劇祭(2013年創設、中島諒演出) ③フランスの国立適合創造センター〈アトリエ・カタリーズ〉(1984年創設、マドレーヌ・ルアーン演出) それぞれの作品鑑賞、ワークショップ参加、主宰者へのインタビューなどを行い、各実践の特徴を掴むことができた。現在、論文や報告記事等を準備中である。 (2)翻訳については、まず、フランスの演劇人ヴァレール・ノヴァリナ(1942年-)の理論書『ことばの演劇』の翻訳の手直しを終えた。ノヴァリナの演劇は本研究の主な対象に含まれないが、アール・ブリュットを受容したノヴァリナの理論書は、20世紀前衛演劇と障害者演劇の交叉を考察する上で、重要な概念や視点を提示してくれる。次に、20世紀前衛演劇の俳優の演技方法については、フランス国立高等師範学校マリオン=シェヌティエ・アレフ教授による論文「記憶する手 俳優によるテクストの記憶」(『フランス国立図書館誌』)の翻訳を進め、出版許可を得ることもできた。いずれも2024年度に刊行予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、研究成果の発表を行わなかったが、調査は順調に進んでおり、次年度にまとめて研究成果を発表する予定であるため、研究全体の進捗に支障はないと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
・本課題の研究対象について現地調査(稽古の見学やインタビュー等)を継続する。2024年度は〈心と身体の学級〉との比較対象となる暗黒舞踏のワークショップに参加するほか、〈アトリエ・カタリーズ〉と〈じゆう劇場〉の調査を中心に行う。いずれも調査先が遠方にあるが、長期休暇を利用する予定である。ゆるされる限り多くの時間をかけ、言語化されにくい部分をとらえたい。 ・文献調査については、「傷つきやすさ」「ケア」「コレクティフ」について概念整理を行い、現地調査の成果を考察する理論的基盤を整える。また、イタリアのピッポ・デルボーノの著作の仏語訳の読解を進める。 ・本研究課題の3年目となる2024年度には、学会発表、翻訳出版、調査報告のかたちで研究成果を発表する予定である。
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Research Products
(1 results)