2023 Fiscal Year Research-status Report
北前船ルートと民俗芸能の往来に着目した広域的地域文化の再活性化に関する参加型研究
Project/Area Number |
22K00253
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Research Institution | Okinawa Prefectural University of Arts |
Principal Investigator |
小西 潤子 沖縄県立芸術大学, 音楽学部, 教授 (70332690)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 北前船 / 民俗芸能 / 目連尊者地獄巡り説話 / 盆踊り / 北陸 / 琉球弧 / 大分 / 豊岡 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、北前船ルートに広域的に分布する「目連尊者地獄巡り説話」系盆踊り歌をめぐって、17世紀末から18世紀初頭以降の海のルートによる継続的な物と人間の往来に伴う「知」としての民俗芸能の往来と各地での構築を明らかにし、共同体ベースの参加型研究を通じて地域文化と人々の再接合をし、各地域が抱える複合的問題の解決への道筋を見出すことを目的とする。(1)民族音楽学、民俗芸能研究、海運史などの文献資料収集と整理(1年目~)、(2)対象地域におけるフィールドワーク(1~3年目)、(3)共同体ベースの参加型研究(2~3年目)、(4)広域の再接合(3~4年目)、(5)研究の取りまとめと成果発表(4年目)の5段階からなる計画を立てている。 2年目にあたる今年度は、江戸時代に北前船寄港地であった鹿児島の指宿、山川を中心に、鹿児島、大阪、沖縄を結んだ豪商・濱崎太平次関係、花尾神社(鹿児島市)、枚聞神社(指宿市)にて琉球使節団関係の資料収集を行った。また、鹿児島市や坊津の隠れ念仏跡地や密貿易屋敷等を訪問し、北前船寄港地と念仏伝播の関係性を探った。さらに、比較対象として、北前船寄港地・兵庫県浜坂・諸寄地区での盆踊りを含む資料収集と関連施設見学等を行った。 「目連尊者地獄巡り説話」系盆踊り歌については、大分県立図書館で県内各地の関連資料収集を行うと共に、杵築市の複数個所での盆踊りの実態調査を行った。これにより、現在、同盆踊り歌の継承地が限られる中で、大分県では同盆踊り歌が極めて重要に位置づけられていることがわかった。これらの調査結果をもとに、大分県内の「目連尊者地獄巡り説話」系盆踊り歌に関する論文を執筆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大分県、鹿児島県の図書館や資料館、現地関連機関等で、琉球列島から北陸に至る島嶼地域を中心とした念仏系歌謡や海運史等の文献資料収集を行い、琉球弧に分布する念仏歌に関する先行研究から大いに示唆を得ることができたほか、海運史上きわめて重要な豪商の活動拠点を訪問して情報収集ができた。また、大分県杵築市における盆踊り調査結果をまとめた論文を南砺市関係者に情報提供し、参加型研究に向けての準備として対象地域の共同体間の関係づくりを進めることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の対象地域は広域にわたり、テーマに関わる文献資料は民族音楽学、民俗芸能研究、海運史など分野を横断していることから、今年度得た文献資料や情報を手掛かりとして引き続き関連資料の収集と整理、フィールドワークを行う。また、参加型研究の準備を一層進め、広域の再接合に向けて調査研究を行うこととする。
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Causes of Carryover |
1000円以下の未使用額であるため、繰越扱いとした。
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