2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K00296
|
Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
沼尻 利通 福岡教育大学, 教育学部, 准教授 (90587635)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | 古典文学 / 古典籍 / 書誌学 / 字母 / 平仮名 |
Outline of Annual Research Achievements |
源氏物語の古写本に用いられる平仮名の字母の分析をおこなった。 平仮名の字母の分析をとおして、その書承(書き継がれていく過程)が可視化できるのではないか、また字母の用いられ方に共通性があるのではないか、という問題意識からの研究である。 本年度は、新出定家本若紫巻との関係で注目されている写本、伏見天皇本若紫巻の写本の調査と字母の採集をおこなった。また、伝周桂本(天理図書館蔵)の調査もおこなった。 新出定家本若紫巻の字母を分析するに、用いられている字母は、ほかの定家本(具体的には『更級日記』『土佐日記』などの自筆本)と共通する点もみえるが、ただ、監督書写本であるせいか、定家自身の字母の用いられ方とは違うところもみられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者の体調不良もあり、伏見天皇本若紫巻の分析に手間取り、やや遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
伏見天皇本若紫巻の写本の字母採集を完了させ、定家本「若紫」巻との比較検討をおこないたい。また、伏見天皇本には、定家仮名遣いの継承がなされているか、など仮名遣いの相違点も視野に分析をすすめていきたい。
|
Causes of Carryover |
研究代表者の体調不良により、予定していた国内調査をおこなわず、そのぶんに使用額に変化が生じた。
|