2023 Fiscal Year Research-status Report
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22K00311
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
志立 正知 秋田大学, 教育文化学部, 名誉教授 (70248722)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
曽我 良成 名古屋学院大学, 国際文化学部, 教授 (30197008)
橋本 正俊 摂南大学, 国際学部, 教授 (30440655)
村井 宏栄 椙山女学園大学, 国際コミュニケーション学部, 准教授 (40610770)
森田 貴之 南山大学, 人文学部, 准教授 (90611591)
山岡 瞳 京都府立大学, 文学部, 研究員 (10853327)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 源平盛衰記 / 注釈学的研究 / 校訂本文 / 歴史学との融合 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の予定通り、2024年1月に『源平盛衰記』全釈(一九―巻六―3)を発表した。「小松殿教訓父」「同人召兵」「幽王褒娰烽火」の章段について注釈学的な観点から検討を加えた。『平家物語』では重盛の造型を考える上で重要な「小松殿教訓」「同人召兵」の叙述については、当時の清盛・重盛の関係や史料との比較による時間的問題から、歴史学的には同場面が虚構である可能性を指摘。また中国故事である「幽王褒娰烽火」については、牧野和夫「「幽王始て是を聞く」ということ―天台三大部注釈書と『源平盛衰記』の一話をめぐる覚書―」の指摘を受けて、これが漢籍からの直接的接種ではなく、仏教界における漢籍受容を経てのものであることなどを詳細に明らかにした。 また、「西光像から読みなおす」(『日本文学』73(3)、2024年3月)では、『源平盛衰記』の注釈作業の過程で浮かび上がった西光像の問題については、従来の西光像は『尊卑分脈』や『覚一本』の影響が強いにもかかわらず、歴史学においてもそれが前提とされがちである問題などを指摘した。 本科研の主要な課題である『源平盛衰記』本文校訂のための異本調査については、Web上で公開されている早稲田大学蔵黒川本については、前記全釈に反映した。一方成簣堂文庫本については、コロナ感染対策の問題で閲覧できない時期が長く、予定よりも進行がかなり遅れている。しかしながら、閲覧人数などについてかなりの制約がかかった状態ではあるが、2023年度中に巻七に関しての校異確認を終了、巻八以降についても調査を進めている。この調査結果は、巻七についての注釈を展開する2024年度発表予定の全釈二〇に反映することとする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画通り、「『源平盛衰記』全釈(一九―巻六―3)」を発表、また、成簣堂文庫本についての調査も、巻七の校訂作業を終了し、分担して進めている巻八、九、十一、十三についても、概ね調査を終了している。
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Strategy for Future Research Activity |
予定通り、『源平盛衰記』巻七の注釈学的研究を進め、「『源平盛衰記』全釈(二〇―巻七―1)」を年度内に発表できるよう準備する。また、成簣堂文庫本の調査については、調査人数等の制限が現在のままであるならば、23年度同様に分担して作業を進め、本年度中に巻八~一四までの調査を終了する予定である。
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Causes of Carryover |
当初計画では、毎年数日間集中的にマンパワーを投入して成簣堂文庫の異本調査を進める予定となっていたが、コロナ感染予防のため、一度に一人という人数制限か課されてるため、実際にはメンバーが個々に単発的という形で調査を進めているため。
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Research Products
(2 results)