2023 Fiscal Year Research-status Report
芥川龍之介の直筆資料所蔵情報を核とする総合データベースの構築と活用に関する研究
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22K00322
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
庄司 達也 横浜市立大学, 国際教養学部(教養学系), 教授 (60275998)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥野 久美子 大阪公立大学, 大学院文学研究科, 教授 (50378494)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 芥川龍之介 / 直筆資料 / 草稿研究 / 資料修復 / 映像資料 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、①「芥川龍之介関連直筆資料」のデータベースの構築、②こおりやま文学の森資料館蔵「久米正雄関連映像資料」の修復、③藤沢市文書館蔵「芥川龍之介関連直筆資料」の修復という3つの課題を柱として設定しているが、今年度より東京都北区が所蔵する④「中野妙子『芥川文への取材ノート』」の調査が加わった。 ①「芥川龍之介関連直筆資料」のデータベースの構築に関わる調査を継続し、データ等のの再点検に取り組んだ。 ②こおりやま文学の森資料館蔵「久米正雄関連映像資料」の修復は、福島県郡山市の2023年度予算として修復事業が認められ、1本分の修復作業を行い、相応の成果をあげた。今回のフィルムが以前の修復作業で明らかとなった映像に続くシーンであることが確認され、新たな映像資料の発見につながった。 ③藤沢市文書館蔵「芥川龍之介関連直筆資料」の修復は、本年度が3か年計画の2年目として50点の資料の修復に取り組んだ。このことにより閲覧、公開が可能となったが、本年度の成果についても昨年度と同じく、複数の新聞各社の紙面に於いて広く取り上げられ、直筆資料の修復の必要性とその有用性についてより広く伝えることができた。 ④北区所蔵「中野妙子『芥川文への取材ノート』」は、芥川龍之介の妻である文が、龍之介の死後、自身や夫龍之介、芥川家のことなど周辺について述懐したことがらを聞き書きとして中野がまとめ、雑誌での連載を経て書籍化したものである。この度、北区と横浜市立大学との間で「覚書」を交わし、協働を行い当該研究を進めることとなった。本年度は、次年度以降に行う調査のための準備期間として位置づけて作業を進めた。 なお、研究代表者の庄司達也と研究協力者の小澤純は、財団法人日本近代文学館が開催した「『芥川龍之介文庫目録増補改訂版』刊行記念 芥川龍之介展」に編集委員と協力者としてそれぞれ関わり、本研究課題での成果を積極的に活用した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「芥川龍之介関連直筆資料」に関するデータベースの構築の作業を中心に、本研究課題の柱としている4つの課題に取り組み、それぞれに相応の成果を上げている。 資料修復に関する事業計画は、自治体や文学館などの関係機関の協力を受けながら、一部は縮小したものの、おおよそ当初の予定の通りに進み、相応の成果を残した。 また、昨年度はコロナ災禍の終息が見出せない中、遠方への調査、グループでの調査活動に積極的に踏み込めない状況もあったが、今年度は大阪公立大学への再調査などに訪れる機会を作ることが叶い、また、学会での発表なども積極的に行えたことで、当初の計画の通りには進められていない一部の計画を除き、おおむね当初の計画通りに進んだと云える。 また、庄司達也と研究協力者の小澤純が、財団法人日本近代文学館が開催した「『芥川龍之介文庫目録増補改訂版』刊行記念 芥川龍之介展」に編集委員と協力者としてそれぞれ関わり、本研究課題での成果を本展の展示や図録の作成の際に活かせたことが、大きな意味を持つ。
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Strategy for Future Research Activity |
「芥川龍之介関連直筆資料」に関するデータベースの構築については、既に当初計画の8割程度は終えている段階に来ている。ただし、その公開の方法については当初に予定していた方法が実行できないことが明らかとなったため、関係機関との協力を探りながら今後の見通しを立てることとする。 こおりやま文学の森資料館(福島県郡山市)が所蔵する、久米正雄関連の映像フィルムの修復事業は、2024年度の事業計画として資料修復のための再調査を行うことを計画している。これは、以前の調査結果を踏まえて行われている本計画の修復対象の資料の劣化が、当初の予想以上に進んでいる現状を考慮してのことである。今後の計画立案は、この再調査の結果を検討してのこととなる。 藤沢市文書館(神奈川県藤沢市)が所蔵する芥川龍之介関連直筆資料の修復事業に関しては、2024年度も継続することになっている。 2023年度に新たに加わった田端文士村記念館(東京都北区)が所蔵する「中野妙子『芥川文への取材ノート』」の調査と分析は、交わされた「覚書」に従い進めていくことが確認されている。
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Causes of Carryover |
久留米市、長崎市で開催された関係する展覧会の観覧とそれに伴う資料調査、また、大阪公立大学で行われた調査について、メンバー内に体調の不良などにより参加が叶わなかった者が出た。このことにより残金が発生したことが主な理由である。 2024年度には、この残金を含めた研究計画を立案することが確認されている。
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Research Products
(7 results)