2023 Fiscal Year Research-status Report
Creating Bibliographic Catalogues of Eikichi Hashimoto and Sunao Tokunaga: Toward the Construction of a Foundation for the Study of Proletarian Writers of Labor Origin
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22K00338
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
和田 崇 三重大学, 教育学部, 准教授 (10759624)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 日本近代文学 / 作家研究 / デジタルアーカイブ / プロレタリア文学 / マルクス主義文学 / モダニズム文学 / ジャパノロジスト / 東ドイツ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の2年目にあたる2023年度は、申請時に作成した「研究目的、研究など」に基づき、[1] 収集・スキャニングした文献のウェブサイトでの公開、[2] 公開資料に基づく共同研究への展開を目指し、また、2022年度の研究状況を踏まえ、[3] 徳永直作品の翻訳書誌に基づく社会主義文学の国際的受容研究への接続も目指した。 [1] について、ウェブサイト「日本プロレタリア文化アーカイブ」を作成し、ベータ版として著作権が消滅している徳永直作品の一部の公開を開始した。ただし、前年度に遺漏として補足した追加資料のデジタル化や、橋本英吉の作品の公開処理は済んでおらず、目標を達成できたとは言いがたい。 [1] の進捗状況と比例して [2] についてもあまり進展していない。ただし、当年度の9月に、「「転換」者たち―新感覚派からプロレタリア文学へ―」と題して、橋本英吉のモダニズム文学からマルクス主義文学への転換に関する研究成果をパネラーの一人として発表し、同じパネルで発表をした他分野の研究者と成果の交流を果たした。 [3] について、ジョージ・シポスとイリナ・ホルカが編纂する論集『Japan Behind the Iron Curtain』に、「Translations of Modern Japanese Literature in DDR (East Germany)」と題して、徳永直や小林多喜二の作品に始まる東ドイツにおける近代日本文学の翻訳の歴史に関する論文を寄稿した。同書は現在、イギリスのRoutledge出版社と出版交渉中である。 最後に、前年度の報告書で経過報告をした単著『徳永直の創作と理論』を当年度の8月に刊行した。これで、徳永直の著作目録が公にアップデートされたことになる。 以上のとおり、研究は遅れているが、その中でも次へのステップとなる研究実績を上げることはできた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当年度の研究は、プロレタリア文化研究のプラットフォームとなるウェブサイトを作成したものの、デジタル資料としては徳永直作品の一部の公開にとどまり、当初の計画を一部しか達成できていない。そのため、計画より「遅れている」を選択した。 研究どおりに進んでいる点と十分に進んでいない点の概要は、「研究実績の概要」に記載のとおりである。
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Strategy for Future Research Activity |
申請時の研究計画では、3年目は近代文学系の学会のパネル・ディスカッションで共同研究の成果を発表することを予定していたが、前年度に一部の成果についてはそれを達成することができたため、最終年度の目標としては、本科研の支援で収集・デジタル化した資料のウェブサイトにおける公開の完遂を最優先事項とする。 また、当初は、徳永直の著作は既存のウェブサイト「徳永直の会」で、橋本英吉の著作はウェブサイト「(仮)橋本英吉研究」を新設して公開することを企図していたが、報告者は2023年度にウェブサイト「日本プロレタリア文化アーカイブ」を作成し、プロレタリア文化に関するデジタルアーカイブのプラットフォームを構築した。「日本プロレタリア文化アーカイブ」は、本科研の成果公表の場として機能するだけでなく、他のプロレタリア文学(文化)研究者との間で企画に上がっている、プロレタリア文化の一次資料の発掘やプロレタリア文学事典の作成などの公表の受け皿としても機能する。そのため、これを起点として、デジタルアーカイブを活用したプロレタリア文化の共同研究への発展を目指したい。
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Causes of Carryover |
〔理由〕2023年度配分予算のうち約4分の1の残額が発生した原因は、遺漏分の資料の追加収集が年度末と遅くなってしまったため、学生アルバイトにスキャニング作業を依頼する機会を逸してしまったことによるところが大きい。また、ウェブサイト作成にかかる費用を予備費として計上していたが、サーバーレンタル費については私費で契約しているサーバーの一部を活用し、ウェブデザインについても自作で閲覧に足るものを作成することができたため、支出の必要が無くなった。 〔使用計画〕次年度は最終年度であり、本科研の主軸である徳永直と橋本英吉の研究基盤となるデジタルアーカイブ公開を完遂するため、公開に向けた学生アルバイトの作業賃金として執行するほか、本科研の成果を次の研究に発展させるための共同研究者との会合等への旅費として使用する予定である。
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Research Products
(4 results)