2022 Fiscal Year Research-status Report
楽書よりみる寺院における儀式催行の実態ならびに芸能の継承と書物生成に関する研究
Project/Area Number |
22K00355
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
中原 香苗 神戸学院大学, 全学教育推進機構, 講師 (80469270)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 楽書 / 金剛寺 / 順次往生講式 / 興福寺 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、楽書(がくしょ)を主たる研究対象とする。楽書は、音楽演奏の技術や儀式での振る舞い、演奏する楽曲や楽器の由来、演奏に関するエピソードなどが記された、多くは音楽演奏を家業とする楽人((がくにん)によって書かれた書物である。本研究は、楽書それ自体を対象とし、楽書の成立や内容、他の分野との関連等についても考察する。 具体的には、大阪府河内長野市所在の金剛寺所蔵資料と、南都興福寺に属する楽人の狛氏周辺で鎌倉時代初期から室町時代までに編まれた楽書を主たる研究対象とする。 今年度は、金剛寺所蔵楽書のうちでも、価値が高いと思われる『諸打物譜』所載「順次往生楽次第」について検討を行った。本資料は、比叡山延暦寺の僧真源が永久2年(1114)に著したとされる『順次往生講式』と深くかかわるものである。この講式は、仏の徳などを讃歎する式文と、その後に雅楽の曲に往生を願う歌詞を付したものを演奏する点に特徴があり、いわば仏教の声明と音楽とが一体となった儀式で用いられるものである。「順次往生楽次第」は、式文の後に歌われる音楽部分について記したものである。これまでこの講式にかかわるものは報告されていなかったが、「順次往生楽次第」は本講式の成立にかかわる重要なものであることが明らかになった。 また、狛氏関連楽書25点について、本文を読める状態に翻刻し、内容を確認するなど、基礎研究を進めた。 そのほか、中世日本の説話集などについて学ぶ神戸説話研究会に参加して音楽に関する説話を含む説話集『世継物語』の注釈を進め、その成果として『世継物語注解』が出版された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね当初の計画にしたがって、研究を進めることができているため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、資料の基礎的な研究を中心におこなった。成果を発表できる段階へと進めていけるよう、他の研究者にも協力を求め、研究会を開催するなどして意見交換をおこない、くわえて研究への助言を求めるなどして、研究の進展を図りたい。
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Causes of Carryover |
本年度は、いまだコロナ禍が継続中であったため、出張を制限し、情報収集のための関連学会への参加、会議等もオンラインで参加したため、旅費の使用がなかった。 次年度は、対面での学会参加も行う。また、研究が進展するにともなって、各地の図書館・文庫などでの資料調査も必要になると予想されるため、資料を所蔵する図書館・文庫等へ積極的に調査へ向かう予定である。加えて、研究に関連する知見をもつ研究者等との会合も行いたいと考えている。
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Research Products
(1 results)