2023 Fiscal Year Research-status Report
Making Modern Women in Britain: The Interaction between Women's Career and Literary Culture
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22K00383
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Research Institution | Jissen Women's University |
Principal Investigator |
志渡岡 理恵 実践女子大学, 文学部, 教授 (80597526)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ジェンダー / 女性誌 / 英語圏文学 / 小説 / 人種 / 女子教育 / キャリア形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
2年目にあたる2023年度は、研究実施計画に従い、19世紀後半から20世紀前半に刊行された女性誌の教育・キャリア形成に関する記事を読み、当時の女性誌ではどのような情報が提供されていたのかを確認し、記事を分析して、そこには女性たちのどのような意識やライフスタイル(の変化)が読み取れるのかを明らかにすることを試みた。その成果の一部は、下田歌子記念女性総合研究所第5回研究会において、小泉朝子教授との共同発表「女性誌The Girl’s Own PaperとThe Woman’s Worldにおける教育とキャリア」というかたちで発信した。現在、この発表をもとにした共著論文を準備中である。 さらに、イギリスのダンディー大学で開催された国際学会Gothic Women Conference において、19世紀末の小説Florence MarryatのThe Blood of the Vampire(1897)に描きこまれた人種とジェンダーの問題について考察した研究成果を発表した。パネルの司会 Katie Garner氏やパネリストの Helena Ifill氏をはじめとする参加者からも多くの有益なコメントや情報を得ることができた。現在、この発表をもとにした研究論文を執筆中である。 また、女性の移動(旅)とジェンダーの関係についてのリサーチ成果の一部は、お茶の水女子大学で開催された日本オースティン協会第16回大会シンポジウム「摂政時代の女性/移動/旅」において、「移動、社交、表象――アン・バーナードの喜望峰への旅」と題した発表で公開した。シンポジウム司会の久野陽一氏、シンポジウム講師の新井潤美氏、吉野由利氏、フロアとの討議においても、様々な新たな知見を得ることができた。この発表をもとにした研究論文は『ジェイン・オースティン研究』第18号に掲載されることが決定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2024年度は、それぞれ異なる資料にもとづく研究成果の発信を、下田歌子記念女性総合研究所の研究会、日本オースティン協会の大会、イギリス・ダンディー大学の国際学会の3か所で行うことができたため、研究はおおむね順調に進展していると言える。それに加え、9月にイギリスのケンブリッジ大学においても女子教育関連のリサーチを進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
3年目にあたる2024年度は、キャリア・ガール小説(Elinor M. Brent-Dyer,Kennelmaid Nanなど)をはじめとする働く女性が主人公の小説を分析することにより、仕事を持つ女性たちのライフスタイルや意識のありようについて考察する。また、イギリスにおける近代的女性像の構築に関与したと考えられるその他のテクストの分析を行う。 現時点で決定している研究成果の公開は、①4月にロンドン大学で開催される(hybrid)国際学会Borders and Borderlands Conferenceでの研究発表、②学会誌『ジェイン・オースティン研究』での論文掲載、③10月に同志社大学で開催されるイギリス・ロマン派学会設立50周年記念シンポジウムでの研究発表である。また、それ以外にも2本の論文を執筆中で、それらは2024年度中に所属学会の学会誌に投稿予定である。
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