2022 Fiscal Year Research-status Report
大正・昭和期の詩誌でのフランス近代詩の受容とレスプリ・ヌーボーの形成に関する研究
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22K00485
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Research Institution | Yamanashi Prefectural University |
Principal Investigator |
大村 梓 山梨県立大学, 国際政策学部, 准教授 (50639177)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | レスプリ・ヌーボー / 『詩と詩論』 / フランス近代詩 / モダニズム詩 / 詩誌 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年1月にかねてから準備していた学術書(『異国情緒としての堀口大學-翻訳と詩歌に現れる異国性の行方』)を無事に出版することができた。本書は西洋の仲介者としての役割を超えて、より深く堀口の大正・昭和期の創作活動を学術的に検証しようと試みたものである。本書の全体を通して、これまで別々に語られることが多かった堀口の創作活動と翻訳活動の相関関係に目を配りながら、堀口の詩歌や随筆が翻訳に与えた影響(文体、繰り返し用いられる単語、テーマ性など)を明らかにした。また本書では、詩誌『パンテオン』・『オルフェオン』におけるフランス近代詩の紹介者としての堀口の役割の変化について分析を行った。それによって、本研究課題で主に取り上げている『詩と詩論』へとつながる、日本におけるフランス近代詩の受容のあり方について整理を行うことができた。 そして2023年3月にはフランス・ストラスブール大学にて講演「Poesie et autres formes artistiques - de la poesie japonaise moderne a Saihate Tahi(詩と芸術:日本近代詩から最果タヒまで)」を行った。当初は現地に赴いて講演を行う予定であったが、ストライキのために急遽オンラインで行うこととなった。日本近代詩におけるフランス近代詩の影響を受けた実験的な試みから、現代詩(最果タヒ)までの流れについて論じたものである。散文詩とシネポエムについても取り上げ、現地の研究者と活発な議論が交わされた。今後も日仏モダニズム詩の実験的手法について比較考察を深めていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
かねてから準備をしていた学術書をようやく1月に出版することができた。それによってこれまでの研究の成果を社会に対して広く発表する機会を得ることができた。現在は、日仏のレスプリ・ヌーボーのあり方について日本語とフランス語の文献を用いて比較分析を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はフランスでの現地調査、国内外での積極的な研究発表によって、研究の考察をより深めたいと考える。日本語と英語での学術論文の発表を目指し、論文の執筆を精力的に行っていく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスを巡る社会状況のために、当初の計画通りに研究を進めることができなかったためである。今年度は状況をみながら、フランスでの現地調査、国内外での研究発表を行いたいと考える。
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Research Products
(2 results)