2023 Fiscal Year Research-status Report
明治のFrankenstein ー〈怪物〉の文化的変形
Project/Area Number |
22K00490
|
Research Institution | University of the Sacred Heart |
Principal Investigator |
中川 僚子 聖心女子大学, 現代教養学部, 教授 (90192666)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 明治期の翻訳 / フランケンシュタイン / 文化的変形 / 近代女子教育 / 東京高等女学校 / 三宅花圃 / 小林清親 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究論文「『フランケンシュタイン』明治中期の初邦訳(2) 「新造物者」の翻訳者をめぐって」を発表した(『聖心女子大学論叢』第142集)。本論文においては明治21年に女性による初の近代小説とも言われる『薮の鶯』を発表した三宅花圃が、匿名の翻訳者「瓠瓢舎主人(ひさごのやしゅじん)」である可能性をが高いことの証明を以下の4条件を満たしていたことによって試みた。
(1)三宅花圃が明治中期の女性としては異例に高度な教育を受け、翻訳を実践し得るだけの英語の読解力と日本語の表現力を備えていたこと(2)「瓠瓢舎主人」を筆名とする必然性があったこと (3) 底本となったラウトレッジ社の簡約版を入手し得る立場にあったこと(4)連載誌『國のもとゐ』およびその発行者である東京高等女学校に関わりがあったこと
また、2024年2月には、分担執筆をしたRobert Lublin, Elizabeth A. Fay ed. The Afterlives of Frankenstein: Popular and Artistic Adaptations and ReimaginingsがイギリスのBloomssbury Academicより刊行された。担当章 “Meiji Japan Responds to Frankenstein: the 1889-1890 Translation “The New Creator” and the Illustrations”では、「新造物者」の中断を引き起こした掲載誌『國のもとゐ』の廃刊が、男子中等教育に比肩しうる近代的女子教育の導入を試みた森有礼文相の暗殺に端を発した東京高等女学校事件に関わること、「新造物者」に寄せた小林清親による挿絵に同時代の月岡芳年の浮世絵の強い影響が認められるなど、「新造物者」の成り立ちには、明治中期の日本に固有の政治的・文化的背景があることを明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2023年度より副学長(学務・大学院担当)に就任し、予定していた研究時間の確保が困難な状態となっている。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究期間の延長申請を検討している。
|
Causes of Carryover |
2023年度より副学長(学務・大学院担当)に就任し、予定していた研究時間の確保が困難な状態となっている。研究期間の延長を申請した上で、2024年度および2025年度に使用する予定である。
|
Research Products
(3 results)
-
-
[Book] THe Afterlives of Frankenstein: Popular and Artistic Adaptations and Reimaginings2024
Author(s)
Robert I. Lublin, Elizabeth A. Fay, Tomoko Nakagawa, David Baulch, Tobias Wilson-Bates, High CHarles O'Connell, Sidney E. Berger, Taylor Hagood, W. ANdrew Shephard, Brittany Reid, Lorna Piatti-Farnell, Andrew Burkett, R. L. Silver, Miriam Wallace, James McGirr, Margaret Hart
Total Pages
233
Publisher
Bloomsbury Academic
ISBN
9781350351561
-