2022 Fiscal Year Research-status Report
ドイツ語におけるzu不定詞の発達と文構造の変化についての通時的研究
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22K00506
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西脇 麻衣子 京都大学, 人間・環境学研究科, 准教授 (60613867)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | zu不定詞 / コピュラ / 文法化 / 古高・中高ドイツ語 |
Outline of Annual Research Achievements |
ドイツ語の不定詞は、古くから様々な動詞とともに用いられてきたが、通時的に見ると、話法の助動詞や使役・知覚動詞以外ではzu不定詞に取って代わられるようになった。zu不定詞は、また、補足成分をdass節で表してきた動詞タイプの一部でも使われるようになった。dass節は副詞的な従属も表すが、特に目的を表す文脈においてzu不定詞との競合が見られる。zu不定詞の働きが多様化するにつれ、文の構造上どのような変化が生じたのかについて考察することが本研究課題の全体を通しての目標であるが、一方で、現代ドイツ語においてzu不定詞がその一部となっているような構文がどのように歴史的に成立し、その機能が変化してきたかについて検討することも目標の一つである。具体的には、zu不定詞が動詞seinと結びついた形で受動の意味と話法的な意味(義務や可能)を併せ持つ構造の考察である。sein+zu不定詞の構造はすでに古高ドイツ語期のテクストに見られるが、現代ドイツ語でのように常に話法的な意味を伴っているかどうかは議論の余地があると先行研究では考えられている。本科研費研究の初年度(2022年度)では、このsein+zu不定詞について、関連する二次文献を収集し精読するとともに、古高・中高ドイツ語期のいくつかのテクストにおける実例を分析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
年度の前半は他の研究プロジェクトの方に集中せざるを得ず、結果的に当課題に時間を割くことがあまりできなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度(2023年度)は、sein+zu不定詞について分析対象とするテキストの時代の範囲を拡げる予定である。また、この構文は義務や可能を表す話法の助動詞ともに使われる受動文で言い換えられる場合が多いことが知られているが、これら二つの意味的・機能的な違いについても検討したいと考えている。
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Causes of Carryover |
購入を予定していた図書の当該年度内の納品が困難であったため。この図書は次年度に購入予定である。
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