2023 Fiscal Year Research-status Report
日本語と朝鮮語の文法体系における名詞化の位置づけに関する対照言語学的研究
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22K00531
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Research Institution | Kansai Gaidai University |
Principal Investigator |
塚本 秀樹 関西外国語大学, 外国語学部, 教授 (60207347)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀江 薫 関西外国語大学, 外国語学部, 教授 (70181526)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 日本語 / 朝鮮語/韓国語 / 動詞 / 名詞 / 対照言語学 / 複合格助詞 / 相対名詞修飾節構文 / 人称詞 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者の塚本は次のことを明らかにした。 日本語における複合格助詞は,動詞が用いられたものと,名詞が用いられたものに二大別できるが,これまで前者の複合格助詞に重点を置き,それに対応する朝鮮語の表現について対照言語学からのアプローチで考察を行ってきた。 本年度は,一昨年度及び昨年度に引き続き,それを土台として,これまでまだ探究していなかった,後者の日本語における名詞が用いられた複合格助詞に焦点を当て,「~のおかげで」「~のくせに」「~のせいで」「~のために」「~のついでに」などと,それに対応する朝鮮語の表現に関する考察を行った。その結果,名詞が用いられた複合格助詞については,朝鮮語よりも日本語の方が種類も多く,活用されていることが明らかになった。また,こういったことは,日本語は名詞中心的な表現をとるのに対して,朝鮮語は動詞/形容詞中心的な表現をとる,といった,他の現象について考察することで明らかにされている様態と一致するものである。 研究分担者の堀江は次のことを明らかにした。 日本英語学会のInternational Spring Forumにおいて日韓語及び中国語,アルメニア語を対象に,また第9回IRI言語・文化研究コロキアムにおいて,日韓語を対象として,相対名詞を修飾部とする名詞修飾節構文において語用論的推論の果たす役割に関する対照言語学的研究の発表を行い,日本語が韓国語を含む他言語よりも語用論的推論に依拠する傾向が多いことを明らかにした。また,国際認知言語学会において,日韓語の談話において指示表現(例:人称詞)が明示されるか省略されるかという点に関して一貫して対照的な傾向があり、日本語が他言語に比べて語用論的推論に依拠する傾向が認められた。さらに,日本歴史言語学会学会誌『歴史言語学』において,日韓語を含む諸言語の名詞化に関する論文集『体言化理論と言語分析』の書評を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究代表者の塚本は,今年度から所属機関が変更になったが,昨年度に引き続き,今年度も前任校において新型コロナウイルス禍の感染拡大防止に対応する継続的な管理・運営の任務にかかわらなければならず,超多忙であったため,本研究課題を遂行する時間をほとんど確保することができない状況であった。
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Strategy for Future Research Activity |
【現在までの進捗状況】の項目で記した状況であったため,今後は,その状況の改善に努めるとともに,本年度に行うことができなかった考察を精力的に進める次第である。
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Causes of Carryover |
【現在までの進捗状況】の項目で記した状況であったため,今後は,その状況の改善に努めるとともに,本年度に行うことができなかった考察を精力的に進める次第であるが,そういった研究活動に用いる予算として計画している。
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