2022 Fiscal Year Research-status Report
Effects of word frequency and phonological neighborhood density on word recognition by native speakers of English and Japanese
Project/Area Number |
22K00564
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
野澤 健 立命館大学, 経済学部, 教授 (30198593)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | 音韻隣接語彙密度 / 語彙頻度 / 語彙認識 / 日本語話者 / 英語話者 / 語彙境界 |
Outline of Annual Research Achievements |
語彙頻度、音韻隣接語彙密度及び日本語母語話者には知覚が難しいとされる/l/-/r/を含む語リストを作成し、日本語話者、英語話者それぞれ4名に音読してもらい、音声刺激を作成した。 連続した発話の中での語認識に関わる語境界の音響特性をまとめた。一般に日本の英語学習者は、one ofのように/n/の後に母音が続く場合、/n/と後続の母音を切れ目なく発音するのが苦手で、知覚においても/n#V/の間に語境界があることを知覚するのが苦手とされているが、音響分析によると英語話者の発話では/n/の持続時間が/n#V/では/#nV/に比べて著しく短い。これに対し日本語話者は、撥音のリズム・タイミングの影響と思われるが、/n#V/と/n#V/の/n/の長さの差は小さかった。 You learn/You'll earn/You'll learnの比較では、英語話者ではyou'llの/l/が直前の母音のF2の急激な下降を伴うのに対して、learnの/l/の先行する母音への影響は小さく、語境界を越えての影響は限定的と考えられる。これに対して、日本語話者の発話では、/l/の母音のフォルマントへの影響は小さかった。 /t/,/k/が語境界付近に現れる場合(例 stop stalking stops talking)、英語話者の発話では/t/, /k/が語頭に現れるかどうかでVOTに40~50msecの差が見られたが、日本語話者の発話では、10~20msecであった。日本語の無声閉鎖音が英語に比べ、緩やかに有気音であることが原因として考えられるが、このことが日本語話者の発話の明瞭度を損なう原因にもなりかねないと考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
英語話者、日本語話者4名ずつの音声を録音し、音声刺激となる音声を作成した。難易度を調整するため、ノイズを加える作業が難航したことと適切なノイズレベル(SN比)を特定することに時間を費やした。また、実験を行うソフトウエアの設定にも難航したため、予定よりもやや遅れる結果となった。
|
Strategy for Future Research Activity |
前年度の遅れとなる問題は解決したので、即座に、実験を開始し、データ収集を行う。データは、音響隣接語彙密度、語彙頻度、語彙親密度、構成する音素などをパラメーターとして、分析する。本研究の目的のひとつは、母語の音韻の英語の語彙認識への影響を測定することであるので、英語を非母語とする日本語話者と英語話者の両方を被験者にして、日本国内と米国とで実験を行う。 実験の結果は、今年度秋以降の学会での発表を目指す。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの感染状況が不透明な中、人を集めて行う研究の規模が制限されたことと研究出張が憚られる状況にあったこと、さらに次年度に出張を計画しているため、その費用に充当したいと考えたため、次年度使用額が生じた。
|