2023 Fiscal Year Research-status Report
古声楽譜を資料とした日本語特殊モーラの自立性に関する歴史的研究
Project/Area Number |
22K00571
|
Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
浅田 健太朗 島根大学, 学術研究院人文社会科学系, 教授 (50346045)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 謡本 / 特殊モーラ / 特殊モーラの独立性 / 日本語史 / 音韻史 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は謡曲譜調査の結果を検討し、特殊モーラの独立性を論じた論文を2本公刊した。禅竹伝書において、重音節の後部要素(促音・撥音・二重母音の第二要素)に対して、前部要素に対するゴマ点とは別に、独立してゴマ点が配されている独立型と、重音節の前部要素と後部要素をひとまとめとして、一つのゴマ点が配される一体型があることを指摘し、そこに特殊モーラに対する韻律上の分節意識(独立的か非独立的か)が影響を与えていると考えた。その結果、禅竹伝書に反映される15世紀中世語の分節意識の独立性について、特殊モーラのなかでは、撥音(撥音便、助動詞、鼻音韻尾)・鼻的破裂音・ou(二重母音の後部要素)の独立性が高く、促音、二重母音が長音化している可能性が強いau・eu・uu・eiの独立性が低いと主張した。 また、―ウについては、uu、au、euのグループとouの間に差が認められ、母音連続が実現するときの融合化、長音化の度合は、uu、au、euの方が、ouよりも進んでいると推定できること、拗音が開拗音・合拗音ともにすべて一体型で節付されており、分節意識としては非独立的であること、舌内入声のうち濁音・ナ行・マ行の前に位置するものは、節付に関して促音化環境にあるものと開音節化していると考えられるものの中間的な性格を有していることから、鼻的破裂音として実現していることを合わせて指摘した。 また、古声楽譜と言語との関係について、中国の清華大学で講演を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究課題について、順調に成果を公刊できたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
最終年度は引き続き研究成果をまとめ、成果を公刊する。
|
Research Products
(3 results)