2023 Fiscal Year Research-status Report
Sociolinguistic study on child's name at Japanese settlements in Bolivia
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22K00574
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
小川 俊輔 県立広島大学, 地域創生学部, 教授 (70509158)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 地理言語学 / 歴史的変遷(動態) / 音声・形態・意味 / 社会的要因 / サンフアン移住地 / 洗礼名 / スペイン語化 / 伝統的日本人名 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】南米のボリビアには、1955年前後に創設された2つの日本人移住地がある。日本全国から移住者が集ったサンフアン移住地と、沖縄県出身者のみで構成されるオキナワ移住地である。本研究は、両移住地創設から現在に至るまでの約70年間における〈子どもの名づけ〉の歴史的変遷(動態)ついて、社会言語学的な調査研究を行うことを目的とする。 【2023年度の主な研究成果】 ①2000・2001年生まれの人名(first name)について新たに調査をおこない、先行研究と比較しながら、次のことを明らかにした。①男性名では、1980年頃生まれは4拍が最多、2000・2001年生まれは3拍が最多。②女性の2拍名は、1980年頃生まれは21.4%、2000・2001年生まれは29.0%と増加した。③男女とも1980年頃に比べ、2000・2001年の2拍名の語末音はその種類が増えた。しかし、その音がア・エである場合、両世代とも、それは女性名である。 ②2023年8月にサンフアン移住地を訪ねて聞き取り調査を行い、同移住地で1955年から2005年に出生した1204名の日本人・日系人のうち、1044名の名前の文字(漢字・カナ・かな)及び読み方を記録した。また、命名の由来や名に込めた願い等に関する聞き取り調査も合わせて実施した。2024年度以降、同移住地を再訪し、2006年から2024年生まれの子どもの名について調査を行う。 ③②の調査結果について、2023年9月にルーマニアで開催された10th Congress of the International Society for Dialectology and Geolinguistics(国際方言学・地理言語学会第10回国際会議)にて口頭発表を行った。聴衆からは理論・方法に関する質問・意見が多く寄せられ、今後この研究を進展させる上で有益であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
科研費による本研究は2022年度からの5年計画で開始された。しかし、covid-19について、2023年5月に5類感染症に位置づけが変更されるまで、中・長期滞在型の海外現地調査の実施は困難であった。そのため、2022年度はボリビアでの現地調査を実施できず、それが尾を引き、現時点でも(3)やや遅れていると判断せざるを得ない状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
【研究実績の概要】欄にも記したとおり、再度、ボリビアのサンフアン移住地を訪ね、当該移住地での調査を完遂することが急がれる。 他方、予算的・時間的に、オキナワ移住地での現地調査は困難かもしれない。オキナワ移住地を研究対象とするには、通信調査に拠るしかないと思われる。その方法を検討したい。
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Causes of Carryover |
歴史的な円安などを背景として、海外渡航費が高騰している。本研究は、南米ボリビアの日本人移住地への訪問調査に基づくものであるため、少しでも経費を削減し、渡航費に充当しなければならない。そのため、\23,965を敢えて使用せず、次年度送りとした。この額と、2024年度の交付額とを合算して、ボリビアに渡航予定である。
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