2022 Fiscal Year Research-status Report
「最小構造」を活用した英語構文の体系化と教授法の開発
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22K00708
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
數見 由紀子 金沢大学, 外国語教育系, 教授 (40283147)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 英語構文の体系化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、主語・述語の関係にある「名詞句+非定形動詞(分詞または不定詞)」が単独で生じる場合(記事見出しや掲示・標識など、例:Masks required)と文に組み込まれる場合(分詞構文、知覚動詞構文など)を合わせて体系化し、統一的に説明することを目的とする。 初年度の2022年度は、主に文献調査・情報収集と次年度に向けた予備調査を行った。文献調査では、母語獲得・第二言語習得・外国語学習の研究を中心に情報を収集し、本研究で着目する構造を英語の「最小構造」とみなす可能性について検討した。 予備調査は、二段階に分けてよりきめ細かく調査する形に変更し、2022年度に1回目の調査を行った。オンデマンド教材(二つのセット)を作成し、アンケート形式で2週に分けて提示し、それぞれ68名と76名の回答を得た。名詞句的解釈(ものごと読み)が多いと予想したが、全体的には文的解釈(イベント読み)が多く、タイプ別に見ると予想に近い傾向が見られた。たとえば、More files foundのfoundのように日本語に似た動詞(受動的な意味をもつ自動詞「見つかる」)が存在する場合やTraining availableのように連結動詞がないだけの場合は文的に解釈されやすいと予想し、結果も文的解釈が7割程度となった。一方、-ing形とto+原形では、名詞的解釈が上回った。例の数を絞ったため暫定的な結果だが、二つのセットに同じ動詞や構造を用いたことで、学習効果と思われる結果も観察された。 2年目(2023年度)には、1回目の調査結果をふまえた2回目の予備調査を計画している。当初計画では2023年度に教材作成と事後調査を計画していたが、教材学習と学習後の事後調査は同じ学習者を対象とする必要があるため、これらを最終年度(2024年度)に実施する可能性も含めて研究計画を再検討し、より良い成果につなげたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実施計画を再検討し、予備調査を2段階に分けて実施する形に変更した。 初年度(2022年度)に1回目の調査を実施し、その結果をふまえて次年度(2023年度)に2回目の調査を行うこととしたため、当初計画からはやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目(2023年度)には、当初計画から変更し、2回目の予備調査を実施する予定である。予備調査を2回に分けて行うことにより、学習者の理解度をきめ細かく把握し、自己学習教材の作成に反映させる。 当初計画では、2023年度に自己学習教材の作成と学習者の教材学習・事後調査を予定していたが、予備調査の分析と教材の作成をより丁寧に行い、教材学習・事後調査を最終年度(2024年度)に実施する可能性も検討したい。
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Causes of Carryover |
旅費については、情報収集の目的に合う対面開催の学会・研究会がなく、計画した額を使用しなかったため。 謝金については、予備調査を2段階に分けて実施する形に変更したことにより、2022年度の1回目の調査では、当初計画していた母語話者による例文の作成・チェックが不要となったため。 次年度使用額は、2023年度開催の学会・研究会等での情報収集のための旅費と、2回目の予備調査に向けた母語話者による例文の作成・チェックに使用する予定である。
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