2023 Fiscal Year Research-status Report
小学校英語におけるフィンランド型言語活動を取り入れた家庭学習支援ツールの開発
Project/Area Number |
22K00727
|
Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
米崎 里 関西学院大学, 教育学部, 准教授 (60737352)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多良 静也 高知大学, 教育研究部人文社会科学系教育学部門, 教授 (00294819)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | フィンランド型ワークブック / 教材開発 / 家庭学習 / 教員による介入 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、児童が家庭学習として一人で取り組み、学習項目を学び直し、理解・定着を図ることができる小学校外国語科用検定教科書準拠のプラクティスを開発し、日本版フィンランド型ワークブックとして冊子にまとめた。研究2年目の2023年度においては、開発したワークブックに、QRコードを掲載し、自主学習教材の要素を加えた。これにより、児童が家庭などで一人でも新出単語や目標文(ターゲットセンテンス)を確認し、リスニング問題等にもよりよく取り組められるようになった。 昨年度に引き続き奈良市立の公立小学校1校と、新たに神戸市立の公立小学校1校にワークブックを配布し、授業と家庭学習が有機的に結び付けられたか、教員と児童の意見を収集し、検証を行った。研究協力校の1校にて、6年生を対象にワークブックの有効性を検証したところ、一部の児童で、量が多い、難しいという反応が見られたものの、多くの児童はワークブックを家庭学習として取り組むことができたと好意的に評価をした。また、ワークブックは英語学習に大いに役立った、ワークブックを通して、英語の学習法が身についたという評価を得ることができた。成果を得られたものの、家庭学習に教員がどのように介入していくかが今後の課題となった。調査を行った研究協力校では、学級担任が、家庭学習を取り組みにくい児童に対して声かけや個別指導といった介入を行ったため比較的うまくいった。家庭学習においては、児童に丸投げするのではなく、教員の介入は必須で、どのような介入が有効であるかは今後の課題である。 なお、本年度の取り組みや調査結果に関して、学会発表4件、論文投稿2件を行うことができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の科研費研究の目標は、デジタルコンテンツを含めた教材(ワークブック)の開発と完成を目指し、協力校との協議を重ねることであった。QRコードを掲載しデジタルコンテンツを含んだワークブックを完成することができ、また研究協力校にて実践と検証も行うことができたため、「おおむね順調に進展している」とした。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策として2点ある。1点目はワークブックが家庭学習や自学自習でうまく機能させるためには、学校の授業と家庭学習をどのように有機的に結びつけることが必要か、学習をつなぐための英語授業の設計を検証することが必要である。また2点目は、開発したワークブックを取り組んだ児童と取り組まなかった児童の英語力の検証、ワークブックに対する心情的要因に関する検討を行う。
|
Causes of Carryover |
フィンランド型言語活動を取り入れた小学校英語ワークブックを開発し、これまで学会などで開発したワークブックやその成果を示してきた。ワークブックへの問い合わせが増え、これまでは冊子として製本したものしかないため、著作権の観点からも、そして研究成果を公開するために、書籍化が必要となった。ただし、出版契約に際しては、印税収入は得られない契約を出版社と行なっている。書籍化に向けて、本年度中に処理ができず、次年度使用額が生じてしまった。使用計画としては、書籍印刷代に使用する予定である。
|
Research Products
(6 results)