2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K00857
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
山本 英二 信州大学, 学術研究院人文科学系, 教授 (20262678)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 近世 / 家系図 / 由緒書 / 偽文書 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、当初の研究計画に基づいて、以下のような調査研究を実施した。まず調査については、①長野県諏訪郡下諏訪町・岩波家、②静岡県浜松市西区・洞雲寺、③東京都豊島区・徳川林政史研究所、④京都市・日本史研究会、⑤仙台市秋保温泉・佐勘旅館において調査などを実施した。 ①長野県諏訪郡下諏訪町・岩波家においては、同家が所蔵する古文書を閲覧し、現在の史料保管状況を確認し、今後の古文書調査の方針を所蔵者と打ち合わせた。②静岡県浜松市西区洞雲寺では、静岡文化芸術大学と共同で古文書の調査・写真撮影・目録編成・データ入力作業を進めた。③東京都豊島区・徳川林政史研究所では、同研究所が所蔵する「信州松本城主戸田家文書」および「尾張徳川家文書」を閲覧・調査した。④京都市・日本史研究会では、2023年12月10日に開催された日本史研究会例会「歴史の創造・伝承の形成 ―史料の可能性を広げる―」のコメンテーターを務めた。⑤仙台市秋保温泉・佐勘旅館では、同旅館の温泉展示を見学し、同旅館で聞き取り調査を実施した。 こうした一連の調査を実施することにより、家系図・由緒書・偽文書に関する様々なデータの収集をおこなうことができた。特に③の徳川林政史研究所では、松本藩松平丹波守家(二連木戸田家)に関する系譜編纂に関する基礎情報を多く収集することができた。あわせて尾張徳川家についても、「江戸御小納戸日記」を閲覧し、藩主に関わる事績を確認することができた。 こうした調査の成果については、その一部を書籍(共著)・論文として発表・公表することができた。また④の日本史研究会では、広く偽文書に関する研究報告と関連してコメントをおこなうことができた。他にも原稿執筆を進め、次年度以降の発表・公表の準備を鋭意進めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究の進捗状況については、おおむね順調に進展していると自己評価している。しかし年度前半は代表者の個人的な事情により一時期調査をすることが不可能であったため、調査研究を見合わせざるを得なかった。また2023年5月の新型コロナウイルスの5類への移行までは、様々な行動制限が継続しており、この点でも調査の実施には様々な遅延が生じたことも事実である。そのため史料調査が一部不可能となったため、当初計画していた旅費などの順調な消化ができなかった。 ただし史料調査が不可能な期間にあっても、それまでに収集した史料などについて、解読や分析作業を進めることができ、この点に関しては問題なく研究を遂行することができたと考えている。以上のことから、おおむね順調に進展にしていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、当初の研究計画に基づいて、調査研究を実施したいと考えている。2024年度は完全に新型コロナウイルス5類以降により一切の行動制限はおこなわれていないことから、これまでは充分に実施することができなかった個人宅や公的史料保存機関における史料調査を本格的に実施したいと考えている。 なかでも研究計画の中心である松本藩松平丹波守家については、松本城管理事務所や徳川林政史研究所、東京大学史料編纂所などにおいて確実な調査の実施を予定している。
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Causes of Carryover |
2023年度は、新型コロナウイルスの5類移行以前の行動制限、研究代表者の個人的な事情により、個人宅の史料調査を控えたり、公的史料保存機関における閲覧制限などがあったりしたため、当初の研究計画通りに調査を実施することができなかった。そのため次年度使用額が生じた。2024年度については、当初の研究計画通りに実施したいと考えている。
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