2022 Fiscal Year Research-status Report
甲州道中における「合宿」形態の解明―相模国小原・与瀬宿と村落との関係から―
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22K00869
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Research Institution | Kanagawa Prefectural Museum of Cultural History |
Principal Investigator |
寺西 明子 神奈川県立歴史博物館, 学芸部, 学芸員 (20882301)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 甲州道中 / 与瀬宿 / 小原宿 / 合宿 / 村落 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、甲州道中小原・与瀬宿(現神奈川県相模原市緑区)両宿についてその成立や宿駅業務について明らかにすることで甲州道中の基礎的な研究に寄与することを目指すものである。また、両宿がとる合宿という宿駅の形態について、宿駅制度そのものだけではなく村落などの宿駅を取り巻く環境からその実態を明らかにすることを目的としている。宿駅としての基礎的機能を明らかにし、宿駅と村落、宿駅と外的環境の関係を整理したのち、基礎研究を踏まえたうで他の宿駅と比較を行いながら「合宿」形態の成立と変化を考察する。 研究の初年である令和4年度は与瀬・小原宿について宿駅の基礎的機能を明らかにするために、①与瀬・小原宿関係資料の調査、整理、撮影、②既撮影資料写真データの整理、翻刻作業を進めた。①は神奈川県立歴史博物館所蔵坂本家文書について、研究協力者である根本佐智子氏とともに目録作成、資料撮影、資料保存環境改善を実施した。②については、令和3年度に調査と撮影を実施した相模原市所蔵坂本家文書、小原本陣清水家文書のデジタルデータの整理を行った。また、そのうち寸法の大きい絵図資料等について研究費を得た調査での再撮影が必要なものなどを抽出し撮影方法の検討を開始した。 今年度の研究は小原・与瀬両宿が宿場としてどのような機能を持っていたかということを整理する基礎的研究のための資料調査、整理、撮影が主であった。それに加え、①と②の調査を併せてて進める中で、両宿を内包する与瀬村の小字名、地勢など村落としての基礎的情報も蓄積することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
18K00951基盤研究(C) 幕末期地方藩士による江戸在勤日記の基礎的研究(研究代表者:根本佐智子)の研究協力者として、報告書作成及び研究成果を含む展示を実施した。 また、一時期コロナ対策部署に派遣されたことにより所属する研究機関において資料調査を進めることができなかった時期があった。 令和5年度はいずれの期間も終了しているため本研究に注力できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年同様研究の中心となる与瀬・小原宿資料の整理・撮影・翻刻を進める。研究費取得以前に撮影した大型絵図については再撮影を行い、与瀬・小原両宿を視覚的に把握することができるデータの作成を行う。 また、相州四ヶ宿の関連資料の調査を開始する。
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Causes of Carryover |
調査・撮影・翻刻作業が協力人員を確保し集中的に実施するほどまで作業が進まなかったため謝金を支払うことができなかったことが主な理由である。令和5年度以降には令和4年度撮影分も含め整理・翻刻を依頼し適切に助成金を執行していきたい。
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