2023 Fiscal Year Research-status Report
Discrimination and Linguistic Representation in Modern Society
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22K00874
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
黒川 みどり 静岡大学, 教育学部, 名誉教授 (60283321)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 智 静岡大学, 教育学部, 准教授 (90625211)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 差別 / 言語 / 中国 / 竹内好 / ハンセン病 / アジア / 丸山眞男 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は、前年度に引き続き、ハンセン病とハンセン病差別問題の研究者である徳田靖之氏、藤野豊氏と毎月研究会をもち、研究報告と意見交換を続けてきた。また『被差別部落に生まれて―石川一雄が語る差別事件』を刊行し、石川の歩みを通して被差別部落問題のありようをまとめた。それは、ハンセン病者で石川と同じく同じく冤罪を着せられた藤本松夫の場合とも酷似していることを確認した。 一方、差別問題を考える際の分析軸となる丸山眞男の思想をまとめて書籍として刊行した。 研究分担者は、本研究課題の出発点である竹内好における翻訳の問題を、その初期の活動の場であった中国文学研究会のあゆみの中でとらえた研究を発表した。そこでは竹内による漢文訓読を基とする漢学の限界性への意識は、まさに他者理解の限界性の問題であることを明らかにし、またそれゆえに竹内が翻訳という行為に対してその限界性を意識しながら、翻訳行為自体を主体としての自己認識に昇華するという厳しい姿勢で臨んでいだことを、その活動の初期段階において明らかにした。 本稿での整理によって、本研究課題の起点となった竹内好による魯迅『阿Q正伝』における翻訳語選択の問題も、それは翻訳作業における単なる技術的な問題ではなく、翻訳行為の主体である竹内自身の自己認識の結果であり、すなわち弱者への差別を徹底的に否定し続けた竹内の根源的姿勢の表れであることを指摘するための基礎作業ができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概要にも記したとおり、近代社会における部落差別、ハンセン病差別のありようについて研究を進め、また一方で、翻訳、ひいては他者理解の問題についても研究の進展があった。ほぼ計画通りに順調に進んでいると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度は最終年度でもあるため、これまでの蓄積を踏まえつつ、研究のまとめの作業を行う。差別のありようと重ね合わせながら、そこに翻訳という他者理解の問題を深めてゆきたい。これまで通り、研究代表者と分担者が相互に意見交換を行いながら作業を進めたい。
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Research Products
(8 results)