2022 Fiscal Year Research-status Report
技術史的観点からみた平安時代における宮殿・官衙・寺院の新造・修造に関する研究
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22K00875
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
古尾谷 知浩 名古屋大学, 人文学研究科, 教授 (70280609)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梶原 義実 名古屋大学, 人文学研究科, 教授 (80335182)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 日本古代史 / 手工業生産 / 建築生産 / 天皇家産機構 / 平安時代 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、 建築生産の前提となる建築部材を生産する手工業の一部として、銅製品の生産の問題について研究した。具体的には、寺院建築部材としての露盤等の銅製品生産について、興福寺西金堂造営・法華寺金堂造営・石山寺造営・長屋王家における寺院造営などにおける技術者確保の方式、原料銅調達の方式、銅製品調達の方式などを解明することを通して、天皇・皇貴族家産機構がどのように建築生産を遂行したのかという点、および原料銅や銅製品のうち汎用性の高い製品については一般に流通していたということを明らかにした。その成果は論文「奈良時代における銅の消費(銅製品の生産)について」(『国立歴史民俗博物館研究報告』238号、2023年3月31日)として公表した。 また、建築生産の成果物としての建造物について、その使用のあり方について研究した。具体的には、国分寺をはじめとする寺院の伽藍を題材とし、その中でも特に管理組織としての政所の機能について検討した。寺院一般には、三綱が執務を行う政所があり、さらに国分寺には、それに加えて国内の僧侶を教導し、寺院を管理する国師(のち講師)が執務する国師院(講師院)が設けられたが、それらの施設には、外部から受理した案件を決裁し、その決定を伝える文書に署名・捺印をするという機能があったということを明らかにした。その成果は、講演「国分寺の施設-政所を中心に」(大垣市教育委員会歴史講演会、主催:大垣市教育委員会、2023年01月14日)として公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画において、令和4年度は六国史、古記録、中央寺院の資財帳類を中心に調査・分析し、天皇発願寺院の造営に関して検討を進めることを予定していた。この課題に対し、興福寺、法華寺、石山寺などの、天皇およびそれに準ずる人物が発願した寺院の造営について、その資材調達、技術者確保などの問題を検討し、本研究の主要な柱である天皇家産機構の建築生産への関わりについて理解を深めることができた。 また、当初計画では令和6年度~令和7年度に行うことを予定していた地方寺院の建築に関する論点について、今年度において先行して検討を行うことができた。その結果として、これも本研究の主要な柱の一つである、造営された建造物の使用のあり方という問題について、地方官衙との比較の中で、共通して現れている特質と、寺院と官衙それぞれ独自の特質について明らかにすることができた。 以上の2点について、それぞれ査読付論文、招待講演として、研究成果を公表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画において、令和5年度は焼失あるいは破損した中央寺院の再建・修理記録類を中心に調査・分析し、建築技術的観点を踏まえつつ、造営財源に関する研究の蓄積と照らし合わせながら、研究を深化させることを計画していたが、この計画に沿って研究を推進する予定である。具体的には、「造興福寺記」にもとづいて永承2年(1047)~永承3年における興福寺の焼失後の再建について、「東大寺修理所注進記」にもとづいて天喜4年(1056)~康平元年(1058)における東大寺の修理について、「元興寺堂舎損色検録帳」にもとづいて長元8年(1035)における元興寺の修理について検討する計画である。 それに加え、令和4年度において地方寺院における建築生産について当初予定より先行して研究を進めることができたことを踏まえ、僧侶が国分寺や定額寺などの地方寺院の造営事業に対して、特に技術的な面でどのように関わったのかという点を中心に研究を進めることも計画している。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの関係で予定していた調査が行えず、旅費の執行ができなかったため、次年度使用額が生じた。次年度はその分の調査を遂行することで執行する予定である。
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Research Products
(3 results)