2023 Fiscal Year Research-status Report
1980年代後半から2000年代における東京を中心とした都市改造の歴史学的研究
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22K00879
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
源川 真希 東京都立大学, 人文科学研究科, 教授 (10264574)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 都市再開発 / 都市再生 / 規制緩和 / 首都圏整備 / 国土政策 / 首都改造 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、研究目的にあるとおり、バブル経済崩壊後における地価下落や産業構造の変化のもとで都市東京の改造がいかに行われ、そしてそれが都市東京の1980年代後半~2000年代の変化の歴史のなかにいかに位置づくのかを考えるための具体的な作業を行った。 以上の目的にそくして①国土政策と首都圏基本計画の調査・分析、②同時期の都市再開発法制の調査・分析、③政府の規制緩和政策を政府委員会などの活動の調査・分析、④民間ディベロッパーや都市政策研究者の首都圏構想、都市再開発構想などへの参与についての調査・分析、⑤諸外国の都市の事例との比較という作業が必要であった。 昨年公表した源川真希「首都圏「変容」の同時代史 第4次~第5次首都圏基本構想と東京一極集中をめぐる対抗を中心に」に続く時期を中心に調査・分析を進めた。先の目的のうち①②③にそくして2000年前後の首都圏に対する政策についての調査・検討、それに都市再生推進懇談会での議論を中心とした都市再生政策の展開過程についての調査・検討を行った。また⑤にそくして外国の都市について知見を深めた。具体的には、これまでの研究対象としているオーストリアのウィーンやドイツの都市の実態、それにその他の諸外国における都市再開発の状況を研究文献などにより整理した。 あわせて本研究で課題としている東京の現代史を広い視野で分析するため、1980年代~2000年代における東京の社会的変容、脱工業化と都心の空間的な変容についての調査・検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的のうち、①国土政策と首都圏基本計画の調査・分析、②同時期の都市再開発法制の調査・分析、③政府の規制緩和政策を政府委員会などの活動を具体的に調査・分析については国内での行政文書の整理が中心となるため、順調に進んでいる。今後、④民間ディベロッパーや都市政策研究者の首都圏構想、都市再開発構想などへの参与についての調査・分析の作業を進めたい。 ⑤諸外国の都市の事例との比較という点では、研究文献を読み論点を抽出する作業を行っている。特にウィーンの都市再開発政策、住宅政策を他の都市と比較した研究などを読むことで研究対象としている都市の位置づけが明確となった。また東京を分析する視角が得られた。ただし改善を要する点もある。研究計画において外国都市の実態調査を行うことをうたったが、研究代表者の学内での役職などにより、当初の予定を修正せざるをえない状況となった。この面での作業は比較的遅れている。 とはいえ総体として東京についての研究は進んでいるものと判断し、「おおむね順調に進展している」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、計画にそくして①国土政策と首都圏基本計画の調査・分析、②同時期の都市再開発法制の調査・分析、③政府の規制緩和政策を政府委員会などの活動を具体的に調査・分析を進める。また④民間ディベロッパーや都市政策研究者の首都圏構想、都市再開発構想などへの参与についての調査・分析の作業を具体的に実施する。さらに⑤諸外国の都市の事例との比較という観点から、諸外国の都市の調査を進めるべく計画を立てたい。 そして以上の具体的作業を前提に、本研究が課題としている1990年代のバブル経済崩壊後における地価下落や、産業構造の変化のもとで都市東京の改造がいかに行われたか、ということについて具体的な像を得るとともに、大規模な都市再開発が進められている欧米など諸外国の都市との比較の上で東京の事例の特質を分析し、そしてこうした都市の変容が、都市東京の1980年代後半~2000年代の変化の歴史のなかにいかに位置づくのかを考えるという最終目標を達成したい。
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Causes of Carryover |
外国都市の調査を実施する予定であったが、研究代表者の学内での役職のため、例年調査を実施していた機関での調査が困難な状況であるため。
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