2023 Fiscal Year Research-status Report
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22K00880
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
山本 英貴 帝京大学, 文学部, 教授 (90711101)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 「江戸幕府日記」 / 「柳営日次記」 / 「殿中沙汰書」 |
Outline of Annual Research Achievements |
江戸幕府の政治・制度に関する研究は、国立公文書館に所蔵される「江戸幕府日記」の表題が付けられた史料をもとに分析が進められている。「江戸幕府日記」は、主に幕府の右筆が記した日記(「右筆所日記」)と老中の執務室日記(「御用部屋日記」)とによって構成されている。そして、「右筆所日記」と「御用部屋日記」などから必要な記事を抽出して作成した「柳営日次記」(国立公文書館所蔵)という史料がある。2023年度は「柳営日次記」について、以下の通り分析を進めた。 まず、「柳営日次記」のデジタルデータをすべてダウンロードし、1点ずつ確認した。そして、「柳営日次記」において加筆・修正などが施されている箇所を抽出し、一覧表にまとめた。さらに、加筆された記事の出典などを調査した結果、「柳営日次記」には幕府が後世に編纂した史料(例えば『寛政重修諸家譜』)の記事も多く記載されていることが明らかとなった。 次に、同じ年代を収録する「江戸幕府日記」の表題が付けられた幾つかの史料の記事について、同じ年代を収録する「柳営日次記」の記事と比較した。そして、「柳営日次記」の記事とそれを修正した記事に関して、元の記事はどの「江戸幕府日記」を参考にし、その記事をどの「江戸幕府日記」で修正したのかを検討した。 以上の作業から「柳営日次記」は、「右筆所日記」や「御用部屋日記」がそれぞれ別個のものとして記していた内容を、一つの内容にして記す場合があることを確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年度は体調も回復し、研究協力者とデータの収集方法などを議論しつつ、順調に研究を進めることができた。しかし、大病により遅れが生じた2022年度の研究計画を取り戻すには至っていないため、本研究の進捗状況を「やや遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、研究計画書に記載した手順通りに進めることができている。2024年度もしっかりと取り組んでいきたい。
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Causes of Carryover |
2022年度は、大病により研究活動に従事することができず、2023年度に多額の助成金を繰り越すこととなった。2023年度は、研究計画書に記載した通りの助成金を使用して、研究を進めることができた。しかし、繰り越した助成金を使用するまでには至らなかった。2024年度は精力的に史料調査を実施し、繰り越した助成金を使用したい。
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Research Products
(2 results)