2022 Fiscal Year Research-status Report
Study about creating a study foundation of area history by research resources-ization of a book of the early modern period topography and history of Fukuoka Prefecture
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22K00888
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Research Institution | Kyushu Historical Museum |
Principal Investigator |
酒井 芳司 九州歴史資料館, 学芸調査室, 研究員(移行) (00543688)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
一瀬 智 福岡県立アジア文化交流センター, その他部局等, 主任研究員 (20543698)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 筑前国続風土記 / 地誌 / 福岡藩 / 貝原益軒 / 青柳種信 |
Outline of Annual Research Achievements |
福岡県の近世地誌のうち、福岡藩が編纂した『筑前国続風土記』『筑前国続風土記附録』『筑前国続風土記拾遺』について、刊本全体をチェックし、作成するデータベースに必要な機能や検索結果の表示形式など具体的な内容を検討した。検索した語句を含む前後のどれくらいの範囲を検索結果に表示させるか、刊本の該当ページとの対照をどのように可能にするか、『筑前国続風土記』『筑前国続風土記附録』『筑前国続風土記拾遺』との相互比較をしやすい画面表示はどのようにしたら良いか、また筑前三大地誌のうち、どれを優先して作業すべきか(研究者側でどの地誌の需要が高いか)などが主な検討事項である。 さらにそれぞれの地誌の内容を通読しつつ、フルテキストデータベースとして公開するに際し、注意しなければならない条件を明確にする準備作業を行った。いくつか要検討な点があり、その検討や調整は2年目に持ち越している。 また『筑前国続風土記』は多くの写本があり、写本間の異同も多く、また写本系統も判明していない。これは撰者の貝原益軒の高弟で、その編纂に協力した竹田春庵が作成した、福岡藩主への献上本の控えが現存しており、活字化する際の最良の底本が存在していたため、写本系統の研究が進まなかったのであろう。しかし、テキストが異なる写本が存在することは、『筑前国続風土記』編纂のいくつかの段階で、それぞれ書写されて一般に流布した可能性を示す。したがって、『筑前国続風土記』の写本系統の解明は、その編纂過程や流布の状況を明らかにするため、意義ある研究である。これについて研究分担者において、刊本の底本となっている竹田春庵本について、改めて写本全体の書誌的な調査を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
データベース化する史料については、原則的に内容が刊本として公刊済みのものを対象にしている。ただしとくに配慮が必要な部分があるかどうか、もしあった場合にどのように公開するデータを取り扱うかについての調整に時間を要していることによる。
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Strategy for Future Research Activity |
『筑前国続風土記』等、史料の書誌的な研究は計画通り進めて行くことが可能であると考える。検討が必要なデータベースの形式や公開にあたっての調整事項については、史料のフルテキストデータベースについての研究協力者や、先進地視察等を行い、2年目中には方針を決定し、システム開発にも着手する予定である。
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Causes of Carryover |
1年目の令和4年度は、研究代表者が九州歴史資料館特別展の主担当を務めており、特別展業務が終了した12月下旬まで、科研の調査研究に十分に時間をかけることが難しかった。データベースの公開に際して、必要な条件の調整が完了しておらず、システム開発に関する作業に着手できていないため、そのための経費を使用できなかったことによる。2年目は多くの時間を費やす本務が昨年度より少ないので、2年目の間には条件を整備し、システム開発に着手して経費を使用する。
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