2022 Fiscal Year Research-status Report
香港の「市民的不服従」の宗教的背景-キリスト教思想の影響を中心に
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22K00933
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Research Institution | Kinjo Gakuin University |
Principal Investigator |
松谷 洋介 (松谷曄介) 金城学院大学, 薬学部, 准教授 (20708515)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 市民的不服従 / 戴耀廷 / 朱耀明 / 陳建民 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、香港の2010年代の一連の民主化運動(セントラル占拠運動、雨傘運動、逃亡犯 条例改正反対運動)の主要な運動理念となっている「市民的不服従」に焦点を当て、その背 後にある宗教的要素、特にキリスト教の平和思想の影響とキリスト教ネットワークの影響を 考察・分析することを目的としている。 初年度は、①公に刊行されている戴耀廷・朱耀明・陳建民の文献を精読・分析し、彼らの思想形成の概要を把握すること、②「市民的不服従」と宗教思想に関する英語文献・中国語文献の購入・収集を進めること、③夏季休暇あるいは春季休暇を利用し、香港での第一回目の調査を実施することを計画していたが、①に関しては主に戴耀廷の自伝的著書『愛與和平: 未完的抗争之路』(2020年)の精読に勤めた。②に関しては、市民的不服従に関する英語・日本語文献に加えて、台湾で出版された香港民主化運動関連の文献収集に勉めた。③に関しては、コロナ禍のため、また政治情勢の様子を見る必要があるため、香港での現地調査は実施しなかった。 共同研究をしている別の研究資金(JEF21世紀財団、代表:藤野陽平、研究テーマ:戦後中華圏における民主化運動とキリスト教)で台湾現地調査をした際に、主な研究対象の一人である朱耀明氏が数年前に香港から台湾に移住していたことを知り、知人の紹介で面識を得ることができ、次回に本研究資金による現地調査・インタビューの約束を取り付けることができたのは、予定外の収穫だった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、香港での現地調査を予定していたが、2022年度前半はコロナ禍のため渡航ができなかった。同年度後半に飛行機の往来は可能となったが、航空運賃が高額であること、また香港国家安全維持法が研究調査活動に及ぼす影響が見通せないため、しばらく様子を見るために渡航を見送った。
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Strategy for Future Research Activity |
文献の収集・精読を進めるとともに、香港への現地調査が可能かどうかを、航空運賃や政治情勢を見極めながら検討する。仮に香港への渡航が叶わない場合にでも当初よりインタビュー予定であった朱耀明氏・陳建民氏は現在台湾にいることが分かったため、台湾でのインタビュー調査の実施も検討する。
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Causes of Carryover |
前年度に予定していた香港での現地調査を実施することができなかったため。
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