2023 Fiscal Year Research-status Report
香港の「市民的不服従」の宗教的背景-キリスト教思想の影響を中心に
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22K00933
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Research Institution | Kinjo Gakuin University |
Principal Investigator |
松谷 洋介 (松谷曄介) 金城学院大学, 薬学部, 准教授 (20708515)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 市民的不服従 / キリスト教 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、香港の2010年代の一連の社会運動の主要な運動理念となっている「市民的不服従」に焦点を当て、その背後にある宗教的要素、特にキリスト教の平和思想の影響とキリスト教ネットワークの影響を考察・分析することを目的としている。 この目的のために1年目に予定していた香港への現地調査・インタビューは、コロナ禍のため、また現地の諸々の情勢を見極める必要があるため見送ったが、2年目は台湾に渡航し、香港から台湾に移住した複数のキリスト教関係者へのインタビューを実施することができた。 資料の面では、特に2023年年11月に月に台湾で出版されたばかりの朱耀明氏の回想録『敲鐘者言:朱耀明牧師回憶録』(左岸文化出版)を早速入手し、同氏の香港における一連の民主化運動の関わりに対する理解を深めた。また香港の活動家たちも一定の影響を受けたというジーン・シャープや関連する書籍を読み、「市民的不服従」の概念をより広い視野で理解・分析することに努めた。 2年目の想定外の収穫は、2023年12月に台湾の中央研究院社会学研究所の主催で開催された「當香港研究走向全球研討会」(香港研究のグローバル化・シンポジウム」に参加することができたことだ。台湾・香港・イギリス・カナダ・アメリカ・日本など各地から300名近い香港研究者たちが集い、多岐にわたる研究発表と討論がなされ、香港研究の現況と課題、今後の展望について考察するまたとない機会となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
香港の諸々の情勢に鑑み、慎重に研究を進めているため。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の3年目は、引き続き文献資料の精読に努めるとともに、台湾でのインタビュー調査を1~2回ほど計画する。後半には研究会などでの発表・討論の機会を検討する。
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Causes of Carryover |
2年目は香港の諸々の情勢に鑑み、慎重に研究を進めているため、予想よりも支出が少なくなり、次年度使用額が生じた。それらの分は、3年目に特に台湾での調査費用に充てることを計画している。
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