2022 Fiscal Year Research-status Report
The Process of the Canadian Confederation from the Perspective of Island Regions: An Attempt to Revise the "Continental Historical View"
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22K00942
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
細川 道久 鹿児島大学, 法文教育学域法文学系, 教授 (20209240)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | カナダ / イギリス帝国 / アメリカ合衆国 / 連邦結成 / 島嶼地域 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、1860年代から1940年代まで、連邦結成と連邦編入を連続的な過程として長期的に捉えるとともに、島嶼地域、特に大西洋側のニューファンドランド島と太平洋側のバンクーバー島の動向を重点的に分析し、それを地域横断的に把握することで、島嶼地域からみた「カナダ連邦結成・連邦編入」史像を解明することを目指している。 ニューファンドランド島に関しては、これまで研究代表者は、科研費助成事業(研究課題「ニューファンドランドと北大西洋世界史―決裂と妥結のカナダ連邦加入交渉の分析」(2017~21年度)にて、20世紀初頭~中葉のニューファンドランド島について分析を行なっており、本年度(2022年度)は、前研究課題で積み残していた1860年代の動向について考察した。具体的には、ケベック会議におけるニューファンドランド島の扱いをめぐる議論を分析したうえで、ケベック会議で採択された「ケベック決議」が、同会議後のニューファンドランド島政府・議会等においてどのように受け止められたのかにつき考察し、その成果の一部を論文化した。 バンクーバー島に関しては、同島を含むブリティッシュ・コロンビアの通史の理解に努めたが、十分な時間を割くことができなかった。とはいえ、「セトラー・コロニアリズム」の論点の重要性を見出すことができ、連邦編入に対するバンクーバー島とブリティッシュ・コロンビア本土それぞれの動向の分析に加え、先住民の処遇の問題を視野に入れる必要性につき考究する機会を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、翻訳書の刊行に時間を費やしたため、ニューファンドランド島については、1860年代の考察結果を一部論文化できたが、バンクーバー島を含むブリティッシュ・コロンビアについては十分な時間を割くことができなかった。また、コロナ禍のため、国内外での調査をすることができなかった。 以上の理由から、「やや遅れている」と自己評価した。とはいえ、翻訳書の刊行において、「セトラー・コロニアリズム」の視点を見出すことができたことは、今後の研究にとって有益であった。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは、ニューファンドランド島の1860年代の考察結果の論文化をおえる予定である。さらに、バンクーバー島を含むブリティッシュ・コロンビアについては、通史的な理解を一層進める。さらに、「セトラー・コロニアリズム」の視点を連邦結成・連邦編入過程の考察に加えるにはどのような立論が必要なのかについても検討を行なう予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で当初予定していた国内外での調査ができなかったため。次年度使用額は、カナダおよび国内の大学・図書館・文書館での史料調査にあてる予定である。
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