2022 Fiscal Year Research-status Report
What is "Urbanization"?: A Long-term Study around the Northeast Suburbs of Historical City Kyoto.
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22K00985
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊藤 淳史 京都大学, 文学研究科, 助教 (70252400)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千葉 豊 京都大学, 文学研究科, 准教授 (00197625)
冨井 眞 京都大学, 文学研究科, 助教 (00293845)
笹川 尚紀 京都大学, 文学研究科, 助教 (00456807)
内記 理 愛知県立大学, 日本文化学部, 准教授 (90726233)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 考古学 / 都市化 / 白川道 / 土佐藩邸 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究初年度である本年度前半期は、古道の白川道に関連する既往の調査研究成果の精査と課題抽出を進めるとともに、道沿いの地域における歴史過程の都市化を示す考古学的事象の特徴をとりまとめ、ひろく一般市民も含めた研究紹介をおこなった(「埋もれた古道から探る地域の歴史」京都大学アカデミックデイ2022.6.19)。参加者から多くの意見と情報を得ることができ、今後、地域内においてフィールド調査も含めた研究を円滑に遂行し進化させていく上で有意義な活動であった。 後半期は、白川道と周辺地域の都市化に関連する既発掘調査成果の中で、未報告であったり報告不十分なものの再整理と資料化の準備を進め、一部資料については状態確認と実査をおこない、検討結果を報告した(「塩壺」と俗称されている鉢形製品の検討(上))。また、災害史の観点から対象地域内における先史~歴史時代の土石流痕跡事例を分析し、地域社会の影響と対応をまとめた成果を博物館展示として紹介している(京都大学総合博物館2022年度特別展「京都白川の巨大土石流-埋もれた先史土砂災害に学ぶ」)。京近郊の都市化様相を実証的に明らかにする研究として、いずれも今後さらなる展開を期すものである。 フィールド活動としては、研究分担者全員が参加し、天理大学歴史文化学科の協力のもとに、古代における白川道および幕末期土佐藩邸にかかわる遺構探索を主目的として、北白川地域に位置する北部構内において遺跡物理探査を実施した。速報的に得られている結果によると、古代の道路遺構延長と予想できる反応とともに、土佐藩邸北縁あるいは内部遺構にかかわる可能性のある反応も確認されており、今後の調査計画立案にとって重要な成果を得ることができたと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は、都市京都の近郊として、古道を介在させながら都市的様相と農村との間の反復で推移してきた京都大学の位置する吉田・北白川地域を中心に、これまで蓄積されてきた多くの発掘調査成果を検証・活用しつつ、さらなる調査研究の進展をはかり、都市化の歴史的意義を解明することを最大の目的としている。その点で、初年度の今年度に、 ①既往の調査成果についてのまとめ的な発表を行い、課題内容の再確認ができた ②未報告資料についての状態確認と資料化準備ができた ③今後のフィールド調査について、関係者との交渉を行うとともに遺跡物理探査の実施により地中状況の把握がされた ことから、次年度以降の発掘調査を含めた具体的なフィールド活動や資料報告に向けての準備を、おおむね整えることができたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究活動は、 ①対象地域の都市化にかかわる重要遺構である、白川道の成立過程と、幕末期の藩邸構造の双方を中心として、発掘を含めた調査による実証的解明 ②上記にかかわり、既存成果だけでなく、未報告・未発見も含めた発掘資料や文献絵図史料の探索をおこなう。発見・獲得した史資料は精査研究の成果を報告・公開し、歴史資源としての活用を可能とする の2つを柱として推進していく。 ①については、年度内の試掘調査実施を目指して準備検討を順次進めていく。②については、現在既に着手している部分もあるが、最終年度に予定している報告書刊行や博物館展示などの実施に向けて、あらためて内容ごとの作業工程や研究分担を確認しながら、継続的に進めていきたい。
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Causes of Carryover |
当該年度は、コロナ禍による制限が依然継続する状況にあり、遠方への資料調査や学会・研究集会等への参加見送りや、リモートでの参加となったことから、当初予定していた旅費の執行が少額で抑えられることとなった。これにより繰り越される助成金が生じた。 今年度以降の研究計画としては、屋外での試掘調査の実施が大きな柱となっており、これは、一定期間の機材等利用など役務に加えて、出土資料の整理報告にもまとまった経費執行が見込まれるものである。また、見送られていた対面的研究活動が再開されつつある状況を考慮すると、これまで中断していた資料調査等の実施頻度が高まり、それらを満たす経費が通常以上に必要となることが予想される。当初請求に加えた助成金は、これらの活動を安定円滑に実施することに用いることを計画する。
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Remarks |
1『京都大学アカデミックデイ2022』(2023年6月19日)に出展して研究代表者・分担者全員によるポスター発表を行い、研究者だけでなく地域住民や高校生など学外の一般関係者にひろく研究紹介と意見交換をおこなった。 2『京都大学総合博物館2022年度特別展』(2023年3月15日~5月14日)では、研究分担者冨井眞が中心となり展示企画を担い、災害史の観点から本研究対象地域内の調査成果を紹介した。
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Research Products
(3 results)