2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K01000
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
斎藤 誠史 東京大学, 総合研究博物館, 特任研究員 (80637588)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南 武志 奈良県立医科大学, 医学部, 研究員 (00295784)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 辰砂 / 四種硫黄同位体比 |
Outline of Annual Research Achievements |
辰砂を粉末化してできる朱は縄文時代から顔料として使われてきた。硫黄には、四種の安定同位体(32S、33S、34S、および36S)が存在する。これまで遺跡や墳墓から出土する朱の産地の推定は、存在度が高い32Sと34Sの同位体比に基づいて行われてきた。本課題では、弥生・古墳時代の墳墓から出土した朱、および当時採掘が行われていたと考えられる日本と中国の鉱山から採集された辰砂の四種硫黄同位体分析を行う。 初年度は、日中の鉱山から採集された辰砂、および弥生時代後期の墳墓から出土した朱について、硫黄同位体分析用の前処理を行った。粉末化した資料をクロム溶液と反応させて、硫化亜鉛として回収した。さらにこれを硝酸銀溶液と反応させて純化し、硫化銀として回収した。また辰砂を含む一部の岩石試料について薄片を作成し、辰砂結晶の産状を観察・記載した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初から、初年度には資料の同位体分析用の前処理を行うことを計画していた。こちらを予定通りに施行したため、本研究課題はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
当初からの予定通り、次年度に、初年度に回収・精製した硫化銀の四種硫黄同位体分析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
研究代表者の都内への異動に伴い、同位体分析を行う東京工業大学へのアクセスが容易となった。これに伴い、申請時に計上していた旅費・滞在費の一部が余った。こちらは次年度以降、分析をより効率的に行うための人件費・謝金費用として活用する予定である。
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