2022 Fiscal Year Research-status Report
Images of Prehistory: Creating the People, Architecture, and Landscapes of the Past
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22K01015
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Research Institution | Morioka College |
Principal Investigator |
吉田 泰幸 盛岡大学, 文学部, 准教授 (20585294)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ERTL JohnJosef 慶應義塾大学, 経済学部(日吉), 准教授 (30507380)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 先史時代 / 縄文時代 / 復元イメージ / 建物復元 / 景観復元 / 野外博物館 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は縄文時代の人・建物・景観復元の歴史学的・系譜学的調査によって「復元の文化史」を構築し、併せて現在進行中の復元実践当事者へのインタビュー調査をもとにした質的調査によって先史時代の復元プロセスを明らかにすることを目的としている。本研究は、先史時代の中でも日本列島の縄文時代に着目し、A)縄文時代の人・建物・景観復元に関する「復元の文化史」の構築、B)復元実践の当事者へのインタビュー調査による復元のプロセスの解明を目指す。 2022年度はA)として、縄文時代の人・建物・景観復元に関する事例収集の充実を図った。人の復元事例は研究代表者が、建物の復元事例については研究分担者がそれぞれの過去の科研費研究等によって収集をある程度進めていたが、本研究では両者のさらなる充実に加え、景観復元の事例収集を開始した。B)の復元実践の当事者へのインタビュー調査は、人・建物・景観の復元事例について、それぞれ実施した。人の復元事例は歴史復元イメージ画家に、建物の復元事例は山梨県北杜市梅之木遺跡の担当者に、景観復元事例は岩手県一戸町御所野遺跡の担当者にインタビュー調査を実施した。 既発表の先史時代建物復元に関する国際学会プロシーディング掲載原稿をもとにした学会誌原稿の依頼があり、これまでの研究の一端を国際的に発信することができた(1件)。本研究開始前から継続して行っている建物復元プロセスに関するエスノグラフィー調査の結果を紀要掲載論考として発表した(1件)。また、建物復元の北陸・東海地方における基礎的データ集を紀要掲載論考として発表した(1件)。これらは全て研究代表者・分担者の連名により英語で執筆・発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究はおおむね順調に進展している。 A)縄文時代の人・建物・景観復元に関する「復元の文化史」の構築においては、人の復元事例は研究代表者が、建物の復元事例については研究分担者がそれぞれの過去の科研費研究等によって収集をある程度進めていたが、本研究では両者のさらなる充実に加え、景観復元の事例収集を開始した。建物復元の文化史においては、建物復元の北陸・東海地方における基礎的データ集を刊行する際に、日本列島の先史建物復元に大きな役割を果たした関野克案についての建築史学界の反応を分析した。結果、建築史学界の反応には、関野案の系譜を引く現在支配的な茅葺屋根の建物復元ではなく、オルタナティブな復元=土屋根の先史時代建物復元に繋がる芽が実は存在していたことを確認することができた。 B)復元実践の当事者へのインタビュー調査は、人・建物・景観の復元事例について、それぞれ実施した。日本各地の縄文時代遺跡公園でみられる「縄文里山」のうち、岩手県一戸町の御所野縄文公園での縄文里山づくりの設計者の意図、実践のあり方について調査を進め、以前から進めていた人・建物の復元事例の調査に加え、景観の復元事例に関する調査を本格的に開始することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、人・建物・景観復元に関する事例収集のさらなる充実を図る。復元実践の当事者へのインタビュー調査は、人・建物・景観の復元事例について、それぞれ今年度同様に毎年度実施する予定である。建物復元プロセスに関するエスノグラフィー、建物復元の基礎的データ集の英語による発表も継続する。令和5年度は景観復元に関する事例収集・インタビュー調査をもとにした国際セミナーでの発表を予定しており、それをもとにした論文執筆を進める予定である。また、本研究のテーマに関連した共同研究会の成果物である書籍の編集を研究代表者・分担者で進めており、当該書籍の刊行を目指す。
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Causes of Carryover |
理由: 外国旅費が予想以下の金額だったため 使用計画: 2023年度の国内旅費の補助として用いる
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