2022 Fiscal Year Research-status Report
Basic Study on Museum Lighting to Develop Next-Generation Lighting Design that Harmonizes Conservation and Viewing Environments
Project/Area Number |
22K01022
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Research Institution | Tokyo National Museum |
Principal Investigator |
黄川田 翔 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸研究部, 研究員 (20839625)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 博物館・美術館 / 展示照明 / 保存環境 / 鑑賞環境 / 輝度分布 |
Outline of Annual Research Achievements |
博物館・美術館の展示照明では、保存環境と鑑賞環境の両立、すなわち光に起因する劣化の進行を抑制しつつ、鑑賞しやすい照明環境を構築することが目指されており、本研究ではその調査と分析を進めようとしている。 2022度は、展示空間の輝度を測定するために使用する二次元色彩輝度計について、不具合診断やメンテナンスを実施し、輝度測定の準備を整えた。また、専門家と協議しながら博物館・美術館の展示空間における輝度測定方法について検討をおこない、当該測定機器を用いた測定時の条件設定、測定上の注意点、測定結果の分析方法について確認・検討した。その上で、東京国立博物館の展示室を対象に展示照明調査を試行し、今後の調査・分析の方針を整理した。具体的には、2022度に改修を予定している展示室、新たに製作する展示ケースのモックアップを調査対象として、照度/相関色温度/輝度などを測定した(翌年度には、改修後の展示室において同様の調査を実施する予定である)。その結果、展示ケース内壁面の輝度分布について定量的に評価することができ、照明器具の点灯条件による輝度分布の違いなどを容易に比較することができた。また、調査方法の課題を確認し、最適化と効率化を図るために調査項目の再検討をおこなった。 測定機器の準備や調査方法の検討に時間を要したため、当初の予定通りに外部の博物館・美術館において展示照明調査を実施することはできなかったが、2023年度に順次調査を実施できる準備を整えることができた。 そのほか、日本建築学会や照明学会において関連する研究成果の情報収集をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
以前使用していた二次元色彩輝度計に不具合があり、その修理やメンテナンス等に時間を要したため、当初予定よりも測定方法の検討や調査・分析方針の整理が遅れてしまった。それに伴い、博物館・美術館における調査活動も当初の予定通りには実施できなかった。しかしながら、東京国立博物館において展示照明調査を試行しながら、調査・分析方針を整理することができたため、翌年度以降に外部の博物館・美術館において調査が実施できる体制を整えることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
外部の博物館・美術館において展示照明調査を順次進める。特に、浮世絵/素描/染織/漆工といった光によって劣化しやすい展示物が主な展示空間、金工/ガラス/陶磁器といった光よって劣化しにくい展示物が主な展示空間、それらが共存する展示空間について、それぞれの特徴抽出や比較を進めたいと考えている。また、可能な範囲で展示室の床や壁、展示ケース内のクロス材の情報なども確認し、輝度分布の分析に供する。
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Causes of Carryover |
二次元色彩輝度計に関して、新規購入ではなく、以前使用していた測定機器の修理・メンテナンスで対応したため、予定よりも物品費が少なくなった。また、外部の博物館・美術館での調査活動が当初予定よりも遅れたため、旅費の執行がなくなった。翌年度に外部の博物館・美術館で調査を開始するため、その旅費等に執行する予定である。また、調査に使用する分光放射照度計の購入を検討している。
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