2023 Fiscal Year Research-status Report
占領期の文化財保護に関する研究-GHQの博物館概念と博物施策の展開-
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22K01023
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Research Institution | Independent Administrative Institution National Institutes for Cultural Heritage Tokyo National Research Institute for Cultural Properties |
Principal Investigator |
境野 飛鳥 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, 文化遺産国際協力センター, 客員研究員 (80622092)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 博物館施策 / 文化財保護 / 占領期 / GHQ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、第二次対戦後の占領期にGHQの専門家が当時の「日本の博物館」の総体を捉えようとしていた事実に着目し、GHQの目から見た「日本の博物館」を探り、日本の博物館に対するGHQの施策を明らかにすることを目的としている。本研究で主たる分析対象とする国立国会図書館所蔵の『GHQ/SCAP文書』は、GHQの各部局において保存されていた占領行政資料であり、総数3000万枚にも及ぶとされる膨大な資料である。今年度は、こうした資料を効率的に調査するために初年度に構築した環境を活用し、分類番号「840(文化財)」の資料を概観し、優先順位の高いものの洗い出しに努めた。その結果、フォルダータイトルやGHQの民間情報教育局の会議録の表題にMuseumと記載されているものをマイクロフィッシュ化する作業については凡その目途がつき、マイクロフィッシュ化した資料を精査する作業を開始した。この作業を通じて、占領当時の関東・関西圏の美術館・博物館の概要一覧、GHQ側専門家がそれらの施設を視察した記録、新しい博物館の構想案など、多岐にわたる資料を発見した。以下は見つけた資料の一例である。 ・Proposed Questionnaire to be sent to museums ・AN ART MUSEUM - WHY, WHAT AND HOW ・Museums and Art Galleries in the Tokyo Metropolitan Area 30 April 1947 また、こうした資料の位置づけを検討するため、資料内で言及されている日本の文化施設や専門家に係る調査を東京国立博物館、国立科学博物館、永青文庫、大倉集古館、根津美術館等において実施した。この他、次年度予定している米国国立公文書館での調査に向け、基礎的な調査に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
膨大な『GHQ/SCAP文書』の中で、本研究の目的に鑑みて重要度の高いものについて、マイクロフィッシュ化に凡その目途がついたことから、調査はおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、『GHQ/SCAP文書』の会議録等で名前の頻出するGHQ側担当者の経歴等を調査するため、ワシントンD.C.の米国国立公文書館(National Archives and Records Administration, NARA)本館やメリーランド州の新館に所収されている資料に加え、ミズーリ州セントルイスのNARAの米国人事記録センター(National Personnel Records Center, NPRC)に所蔵されている資料を調査することを検討している。
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Causes of Carryover |
購入を検討していた図書等が入手不可能であったため。
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