2022 Fiscal Year Research-status Report
Study on Solar Radiation Effects on Precipitation Disturbances
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22K01039
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
足立 幸穂 国立研究開発法人理化学研究所, 計算科学研究センター, 研究員 (50512448)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 大雨 / 降水システム / 日射影響 / 数値モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
日本各地で集中豪雨による洪水・浸水被害や土砂災害による人的被害が発生している。経験的に「集中豪雨は夜間に起こりやすい」と言われることがあり、実際に観測データを統計解析した結果でも、大雨頻度のピークが夜間にある地域は多い。しかしながら、「なぜ、豪雨は夜間に多いのか?」という問いに対して、メカニズムとともにその理由を明確に示した研究は意外にも少ない。本課題では、過去に発生した実際の豪雨事例を対象に、数値モデルを用いた感度実験を実施することで、豪雨を発生させた降水擾乱に対する日射影響について明らかにすることを目的としている。 今年度は、平成30年7月豪雨を対象に、領域気象モデル SCALEを用いて、テスト実験を実施した。まずは、SCALEのver.5.3.3 を用いて実施した計算結果をリファレンスとして、最新版である SCALE ver.5.3.5で追実験を実施した。2つのモデルバージョンで計算された72時間降水量を比較した結果、降水分布の極大域が、想定以上に大きく違う結果となった。この極大域は、大雨に伴う災害が発生する可能性のある地域に相当する。この差の原因を調査した結果、降水の計算を担当するスキーム以外の変更においても、大気がもつカオス性よって大きな差が出る場合があることが示された。感度実験を行う際は、カオス性を十分考慮して進めるとともに、バージョンの違いによる差の原因をさらに詳しく追求する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では、初年度に複数の感度実験を実施予定であったが、その基準実験となる追実験の結果が、想定と異なる結果であったため、感度実験まで着手することができなかった。しかしながら、ここで得られた知見は、今後計画している感度実験を実施する上で、大変重要なものとなった。この結果を考慮しながら、計画に沿って進めていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
当初予定の計画からは、スケジュール面で少し遅れているものの、計画に従って進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
研究補助員の人件費については、今年度は別予算から確保できたため、使用しなかった。しかし、次年度以降の人件費は足りない見込みであるため、その不足分に充てる予定である。また、計算機利用料を積算していたが、計画していた実験が今年度は実施できなかった。予定していた計算は来年度以降に実施予定であるため、その際に使用する予定である。
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