2023 Fiscal Year Research-status Report
近代日本における旅行文化と観光経験に関する歴史地理学研究
Project/Area Number |
22K01057
|
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
関戸 明子 群馬大学, 共同教育学部, 教授 (50206629)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | 旅行文化 / 紀行文 / 観光経験 / ツーリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,近代日本において,どのような特色をもった旅行文化が生み出され,変化したのかを,さまざまなメディアやテクストを分析することによって明らかにし,当時の人びとの観光経験の歴史的な実態を捉えることを目的としている。4年計画の2年目にあたる本年度は「鉄道と汽船を使った旅行が普及していく明治後期から大正期」に重点をおいて研究を進め,次の成果を得ることができた。 1「2022年学界展望 歴史地理 近・現代」は,「近現代の歴史地理」に関する展望論文であり,当該分野の研究動向をまとめた。2「草津温泉の歴史地理 地域資源としての温泉と共同浴場」では,近世から近代の草津温泉の共同浴場において入浴する人びとの姿などを描いた。3「近代群馬における温泉地の諸相」(『温泉大国ぐんま』所収)では,群馬県内の温泉地の動向,明治・大正期の草津・伊香保・四万温泉における観光経験について考察した。4「案内書・紀行文からみた明治・大正期の伊香保温泉」では,伊香保を訪れた文人・知識人の書き残したテキストを精査することによって,旅行先での経験を把握し,鉄道を使った旅行が普及する前後の伊香保温泉の変化を読み解いた。鉄道開通後,大正期における伊香保の賑わいを見出した。 また,国立国会図書館において明治後期から大正期の旅行記や新聞記事に関する調査を複数回にわたって実施したほか,北海道立図書館・同公文書館等でも資料を収集した。このほか,使用済みの絵はがきの通信欄やデジタル・アーカイブより得られた資料の考察を進めた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,依頼原稿も含めて,本課題に関連する成果を複数公刊することができた。日本地理学会学術大会で学会発表を行ったほか,資料の収集と整理も進めており,おおむね計画通りに進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
4年計画の3年目は「都市近郊路線と全国的鉄道網が整備された昭和戦前期」に焦点をあてて研究を進める。旅行雑誌の読者投稿欄などを活用するほか,旅行記録の新たな発掘に努め,現地での資料調査を実行していく。また日本地理学会学術大会において研究発表を計画している。
|
Causes of Carryover |
年度末の学会発表にかかわる旅費執行が遅延したため,残額を次年度に繰り越すこととなった。資料収集のために使用する計画である。
|