2022 Fiscal Year Research-status Report
Study on geographical conditions of ICT-based support models for home care
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22K01067
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
中村 努 中京大学, 教養教育研究院, 准教授 (00572504)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ICT / 在宅医療 / 京都市 / 新型コロナウイルス感染症 / 多職種連携 |
Outline of Annual Research Achievements |
ICTを活用した在宅医療支援モデルの地理的条件を解明するための事例の選定と調査を実施した。都市部では,潜在的な連携先である診療所は多数存在するが,従来競合関係にあったことから,信頼関係の構築が連携の条件となる。そこで,医師会や在宅療養支援診療所が,信頼に基づく草の根的な診療ネットワークを形成することが多い。 そこで,京都市における在宅医療チームを先進事例と位置付け,潜在的な在宅医療ニーズを検討するとともに,多職種連携による在宅医療体制の空間特性を検討することとした。コロナ禍ではあったものの,関係者へのヒアリングを実施することができた。その概要は以下のとおりである。京都市西京区に立地する在宅療養支援診療所では,訪問看護師や介護福祉士,薬剤師,医療事務といった医師以外の職種が,医師とペアを組んで患者宅を訪問し,業務を分担している。京都府医師会が推奨するSNSの活用が,チーム内の多職種による問題の把握と対応を可能にしている。一方,コロナ禍では専門チームが別途組織され,地域基幹病院や入院医療コントロールセンターと連携することで,自宅療養中の高齢者の症状に応じた訪問診療体制を構築した。新たな組織内外の一時的な関係性は,市場原理とは異なる価値体系に基づいており,パンデミックによる突発的な需要にも有効であった。他方,平時と非常時とでは,形成される在宅医療体制のローカル・ガバナンスと,そこに関与するアクターの行動原理が異なることが示唆された。 以上の成果は,「京都市における在宅医療体制の地域的展開」として学術雑誌にて公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍により対面によるヒアリングの実施が危ぶまれたものの,当初は令和5年度に予定していた京都市の在宅医療チームに対するヒアリングが実施できた。また,その成果は学術論文として公表することができた。このことから進捗状況を「当初の計画以上に進展している」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
異なる都市部における在宅医療の事例への予備的な調査を実施する予定である。その候補の一つである南医療生活協同組合は,名古屋市において,病院,診療所,介護など複数のケアを提供するとともに,住民とともにまちづくり支援を行っている。組合員と職員の協同による健康チェックが推進されていることから,本研究課題の目的を明らかにするための有益な示唆が得られることが期待される。また,高知県安芸市や幡多地域では,ICTを活用した医療・介護連携の取り組みが進展していることから,今後の調査事例として適切かどうか検討を進める。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により当初予定よりも調査の実施回数を減らさざるを得なかった。2023年5月以降,日本ではコロナウイルスの感染症法上の分類が2類相当から5類に移行されることから,当初計画通りの調査を遂行する予定である。
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Research Products
(8 results)