2023 Fiscal Year Research-status Report
憲法上の権利としての外国人の最低生活保障:出入国管理制度との関係も含めた日独比較
Project/Area Number |
22K01164
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
山本 響子 千葉大学, 教育学部, 助教 (90880740)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 公的扶助 / 生存権 / 外国人 / 在留資格 / 退去強制 / 難民申請 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、2022年度に遂行する予定であった小課題を論文として公刊した(「ドイツにおける外国人の公的扶助給付の差異に対する憲法的統制の意義と限界ー内外人平等と差別のあいだー」早稲田法学98巻3号(2023年)121頁以下)。そして、これまでの研究成果を研究会で報告する機会や、論文集への寄稿の機会を得る中で、当該研究課題を論じるうえでカギとなりうる新たな課題を発見した。 公刊した上記論文では、外国人に対して行われる生存保障の具体的な在り方と、これに対して憲法上の統制がどこまで及びうるのかについて、ドイツを素材として検討した。ドイツ連邦憲法裁判所は、難民申請者や違法滞在者に対しても「人間に値する最低生活保障を求める基本権」の享有を認めている。しかしながら、実際の最低生活保障制度は、ドイツ人、定住外国人、難民申請者等の3つのカテゴリの間で、取扱いが異なっている。この差異は、請求権として保障される給付の種類の差異だけでなく、給付の形式(現物給付/金銭給付)、そして金額にまで及んでいる。そうであるにもかかわらず、この差異が上記の基本権に適合しているといえるのはなぜかについて論じたのが上記論文である。 その他、研究会での報告や論文集への寄稿を経て、「人間らしい生活」について、物質的条件にとどまらない観点からの検討が必要ではないかと考えるに至った。日本におけるのと同様に、ドイツでも、入管行政による恣意的な自由への介入が行われる余地があり、いわゆる「生存権」の観点からは保障を及ぼしえないところで「人間らしい生活」が害され、奪われるおそれがある。そのため、最低生活保障にあっては、入管制度内での外国人の取扱いをも注視しなければならない。このことは、日本の現状からすると、喫緊の課題といえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年度に遂行する小課題であった「退去強制事由としての公的扶助受給」について、十分な研究・考察を進めることができなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度に遂行する小課題であった「退去強制事由としての公的扶助受給」については、2024年度に予定している小課題である「滞在資格付与の要件としての生計確保」と併せて検討することが可能であるため、各課題を並行して(場合によっては関連させつつ)遂行し、論文としてまとめる予定である。
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Causes of Carryover |
前年度の予算を使い切ることができなかったため生じた。今年度、物品購入のための費用として使用する予定である。
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Research Products
(1 results)